担癌宿主の栄養学的研究(1) : 血清脂質濃度の変動を中心に
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概要
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担癌ラット(AH-130)を用い,宿主の脂質代謝異常相の一端を明らかにする目的で,血中における各種脂質濃度の変動を中心に,それと代償関係にある血糖量の変動を分析し考察を加えた。ラットは担癌群の他に制限食群(前日に担癌群が摂取した食餌の量の平均値と同じ量を与えた)および対照群で,摂食時間はすべて午前0~4時の間とし,約2週間飼育した後実験に供した。担癌群では,HDLを除くすべての脂質値(TCh,FCh,TG,NEFAおよびbeta-リポたん白)および血糖値が他の2群に比し有意に高値であり,いわゆる高脂血症の病態を示したが,制限食群と対照群の間には測定項目のすべてにおいて有意差は認められなかった。以上の結果より,担癌生体にみられた各種血清脂質値の変動は,単に摂食量の低下によるものでないことは明白で,癌-宿主の相互反応の結果もたらされた代謝異常相の現れと認められる。The variation in the blood concentrations of various lipids and glucose in tumor-bearing rats(AH-130)were analyzed and discussed as an approach to explication of the lipid metabolism disorder in hosts.Rats consisted of a tumor-bearing group,a diet-restricted group(the amount of diet was controlled to the average consumed on the previous day by the tumor-bearing group)and a control group.All the groups were fed from 0:00 am to 4:00 am for 2 weeks prior to the experiment.In the tumor-bearing group,all the lipids(total cholesterol,free cholesterol,triglyceride,non-esterified fatty acid and beta-lipoprotein)other than alpha-lipoprotein and blood glucose increased significantly,compared to 2 other groups,manifesting a so-called hyperlipidemic pathology.All the items examined,however,demonstrated no significant differences between the diet-restricted and control groups.These findings obviously indicate that the fluctuation in the serum concentrations of various lipids in tumor-bearing rats were not induced simply by the decrease of diet-intake but result from the disturbance of lipid metabolism caused by the host-tumor interaction.
- 大阪教育大学の論文
著者
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上延 富久治
大阪教育大学保健学教室
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高木 良一
大阪教育大学保健学教室
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上延 富久治
大阪教育大学
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新田 恵子
大阪教育大学保健学教室
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相川 清美
大阪教育大学保健学教室
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萩原 由典
大阪教育大学保健学教室
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