担癌個体の細胞性免疫能に果たす末梢血単球機能の意義(単球添加法を用いての検討)
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概要
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最近, 担癌個体の免疫監視機構を担う細胞の一つとして単球が注目を浴びている.我々はすでに子宮頚癌愚老の細胞性免疫能に及ぼす単球の意義に関して, Ficoll-Hypaque比重遠心法により分離したmononuclearcells分画のRHA反応性と, その分画より単球を除去したリンパ球群のPHA反応性との比較から間接的に単球機能の検討を加えてきた.今回は子宮頚癌患者における単球機能を更に正確に検討すべく患者の血液より単球を分離し, 反応リンパ球を一定の健常人T-cellとしてそれに分離した単球を添加し, T-cell機能に対する増幅効果を検討してみた.予備実験の後に設定した方法は次のようである.すなわちFicoll-Hypaque比重遠心法を用いて採取したmonOnuclear cellsをnylon-fiber columnで処理し, T-cell rich分画を得, これを反応リンパ球とした.リンパ球(5×10^5個)と同数の単球(tissue culture dishに付着した細胞)を加え, 更にPHA40μg/dishを加えて72時間培養した.培養終了3時間前に^3〔H〕TdRを加え, その後酸不溶性分画に取り込まれた放射活性を測定し, 添加した単球機能を単球+T-cell のPHA反応性/(T-cellのみのPHA反応性)で示した.まず最初に子宮頚癌患者と正常人の単球機能の比較を行つたが, 健常人の単球添加系では健常人T-cellのみのPHA反応性と比較し, 約20倍に上昇した.一方癌患者単球の添加系ではその上昇は健常人に比較し1/3にとどまつていた.次に癌の進展に伴う単球機能の変化を検討したが, CISにおいては健常人に比較し上昇を示し, 逆に浸潤癌においては進行期につれて低下をきたした.以上の成績より末梢血単球にはT-cellのmitogen反応性増幅能があり, 進行癌愚老においてその能力の低下をきたしている事が判明した.この結果, 担癌個体の細胞性免疫能の低下には, 単球機能の低下が大きく関与していると考察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-05-01
著者
-
迫 久男
大阪市立住吉市民病院
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
須川 佶
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
迫 久男
大阪市立大学 産婦人科
-
須川 佶
大阪市立大学
-
李 東満
大阪市立総合医療センター
-
李 東満
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
李 東満
大阪市立城北市民病院
-
李 東満
大阪市立大学医学部
-
中出 潤子
和泉市立病院
-
中森 宏
大阪・和泉市立病院
-
中出 潤子
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
中森 宏
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
迫 久男
大阪市立住吉市民病院産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
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