子宮内膜症における腹腔貯留液中Macrophage, およびInterleukin-1の不妊因子としての意義 : 動物実験による検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮内膜症患者の不妊の原因については単に器質的障害に限らず他の要因も考慮されねばならない. 本研究は内膜症患者腹腔貯留液(peritoneal fluid :以下PF)中のMacrophage(以下Mφ)と, それに関連したPF中Interleukin-1(以下IL-1)の不妊, 不育への関与につき臨床例での検討とともに動物実験による検討を加えたものである. はじめに内膜症患者のPF中のMφ数およびIL-1β濃度を調べた結果, 内膜症患者のPF中にMφ数が増加した例, またIL-1β濃度の高い例が各々1/3の例に認められた. 次にメスマウスを用い, OK-432(中外製薬)の腹腔内投与(以下ip)によって腹腔Mφを増殖させた群, およびIL-lβをipした群をそれぞれ交配させ, 各群での妊娠率, 胎仔数を調べた. さらに腹腔内のMφ増加例に対し, MφのIL-1産生を抑える目的でprednisolone(以下pred)を連日ipした群における交配実験後の妊娠率, 胎仔数を調べた. その結果, (1)メスマウス腹腔内にMφが増加した群において妊娠率, および平均胎仔数の有意な減少が認められた. (2)IL-1をipした群においてもその妊娠率, 平均胎仔数が有意に減少を示した. (3)腹腔Mφ数の増加例にpredをipしIL-1産生を抑制した群においては妊娠率, 平均胎仔数の低下が軽度であった. 以上より腹腔Mφ, とくにIL-1の存在が子宮内膜症患者の妊孕能低下の要因の一つであることが強く示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-05-01
著者
関連論文
- 卵巣癌の長期予後改善を目的とした間歇的CDDP療法の効果とその限界
- 526 抗カルジオリピン抗体(IgG)の妊孕性におよぼす影響 : マウスを用いての検討
- 超音波断層法による閉経後子宮内膜の観察 : 子宮体癌検診対象の選別を目的として
- 454 子宮内膜症における腹水中マクロファージの機能検討 : 不妊因子としての意義
- 329 癌性腹膜炎に対するOK432およびrIL-2腹腔内投与の効果
- 128 超音波断層法による閉経後子宮内膜の観察
- 1)子宮頸部円錐切除術(Conization)(10.,E.婦人科疾患の診断・治療・管理,研修コーナー)
- 婦人科腫瘍委員会(平成16年度専門委員会報告)
- 進行卵巣癌に対する維持療法としてのCDDP間歇療法の役割
- 卵巣癌に対するSecond look operation(SL0)の評価 : 287例を対象として
- STDと***癌に関する検討小委員会(婦人科腫瘍委員会)(平成15年度専門委員会報告)
- 超音波 power Doppler 法による絨毛性疾患遺残病変の評価
- 26 子宮頚部扁平上皮癌細胞からのSN38耐性株の樹立とその分子細胞生物学的性状の解析
- P-342 ヒト子宮内膜脱落膜細胞におけるG-CSFの産生とその生殖生物学的意義
- 322 ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化自己制御機構
- P-52 卵巣癌への塩酸イリノテカン投与に伴う更年期障害に対する芍薬甘草湯の二相性効果
- 婦人科癌患者末梢血単核細胞のLAK活性誘導に及ぼす癌性腹水およびOK-432添加の影響
- 子宮内膜症における腹腔貯留液中Macrophage, およびInterleukin-1の不妊因子としての意義 : 動物実験による検討
- 54 子宮内膜症患者腹水中IL-1、その不妊因子としての意義 : IL-1の子宮内膜細胞内Glycogen量におよぼす影響
- 80 子宮内膜症における腹水中マクロファージ、及びIL-1の不妊因子としての意義 : 特にPredonisolone及びDanazolを用いた検討
- 106 妊娠維持機構における脱落膜組織の意義
- 68 着床部脱落膜組織における免疫担当細胞の分布とその性格分析
- 307 婦人科癌に対するadoptive immunotherapyの臨床的検討
- LPS投与妊娠ラットを用いたHELLP症候群動物実験モデルの作成(一般演題:ポスター)
- 癌性腹膜炎に対するrecombinant interleukin-2併用OK-432腹腔内投与の基礎的, 臨床的検討
- 稀なる卵巣腫瘤"massive ovarian edema"
- LAK cellの腹腔内adoptive transferとrIL-2の腹腔内投与が有効であった子宮内膜癌再発による腹水貯留の一症例
- 102. 進行癌患者マクロファージの免疫抑制活性
- 403. 子宮頸癌患者に対するLAK cell を用いたadoptive immunotherapyの基礎的検討
- P-155 卵巣癌における長期予後因子としてのGST-π発現の意義
- 正常婦人末梢血肉リンパ球の機能的不均一性について
- 122 妊娠維持における脱落膜の役割 : とくに免疫学的機序による
- 74 自己免疫疾患合併妊娠における臨床統計的および基礎的検討
- 卵巣癌の予後と化学療法の効果 : 多施設による共同研究
- 本邦における卵巣癌の予後因子に関する検討 : 多施設による共同研究
- 259 子宮内膜症における抗子宮内膜特異抗体の生物活性および臨床的意義
- P-16 子宮内膜症の漢方療法と抗子宮内膜特異抗体価の推移
- 270 妊娠初期脱落膜および絨毛組織におけるG-CSFmRNAの発現状態およびその局在
- 妊娠初期脱落膜細胞における顆粒球コロニー形成刺激因子(Granulocyte Colony Stimulating Factor, G-CSF)産生
- 497 脱落膜細胞におけるG-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)産生動態
- 妊婦末梢血単球・マクロファージ系細胞の細胞性免疫能におよぼす影響
- 担癌個体の細胞性免疫能に果たす末梢血単球機能の意義(単球添加法を用いての検討)
- 42. 胞状奇胎症例における続発性腫瘍発生の予知に関する研究
- 197. 絨毛性腫瘍患者の細胞性免疫能の変遷について
- 脱落膜細胞含有分画培養上清の細胞性免疫抑制活性についての検討
- 20 各種子宮頸部上皮における基底膜形成に関する免疫組織学的検討
- 206. 胎児・新生児期における細胞性免疫能の発達過程とその特異性に関する研究
- 担癌宿主の細胞性免疫能における末梢血単球機能の意義
- 26.子宮頚癌患者における胸腺ホルモンの変動に関する研究 : ヌードマウス脾細胞を用いたbioassayによる検討 : 第6群 子宮頚癌 免疫 その1
- 27.子宮頚癒患者末梢血内マクロファージのリンパ球T-lectin反応性に与える影響 : 第6群 子宮頚癌 免疫 その1
- 胎児。新生児期における前駆丁リンパ球の機能分化に関する研究(仔牛胸腺ホルモンを用いての検討)
- 216. 胎児・新生児期における免疫担当細胞の機能分化に関する研究 : 仔牛胸腺ホルモンを用いての検討
- 前駆T-細胞の成熟・分化に与えるヒト胎児胸腺ホルモンの影響 : 子宮頚癌患者を対象として
- Leucocyte Adherence Inhibition testを用いた卵巣癌の免疫学的診断に関する研究
- 177. 卵巣癌の予後判定に関する研究 : 細胞性免疫学的手法を用いて
- 174. 頚癌患者における免疫不全状態の病態解析に関する研究 : ヒト胎児より抽出した胸腺ホルモンを用いての研究
- 卵巣癌の診断に対する細胞性免疫学的アプローチ : 患者末梢血中における血清の免疫抑制効果を指標として
- 卵巣癌の診断に対する細胞性免疫学的アプローチ : 癌塊周辺と末梢における非特異的免疫抑制因子の濃度勾配の対比
- 胎児胸腺ホルモン様物質によるリンパ球機能賦活に関する研究 : in vitro における検討
- 1. 免疫監視機構より見た子宮頚癌の進展 : 癌進展度Scoreの提唱
- 子宮頚癌の臨床進行期分類と Lymphocyte-Subpopulation の変動について
- Dextran Sulfare投与による癌患者の細胞性免疫予備能測定とその臨床的意義に関する研究
- 196. Dextran Sulfate投与による細胞性免疫予備能の把握. : 頚癌患者および妊婦を対象として
- 157. 微量全血培養による細胞性免疫能の新測定法の確立
- 78. 妊娠維持における母体細胞性免疫の関与 -新しく開発した微量全血培養法を用いての検討-
- 8. 担癌個体 (頚癌) における免疫能 (リンパ球と血清因子の解析)
- 微量全血培養法による細胞性免疫能の新測定法の確立
- 末梢血内免疫担当細胞の動態よりみた子宮頚癌症例のリンパ節転移の予知に関する研究
- バルトリン腺悪性腫瘍の5例
- P-81 子宮頚癌細胞における放射線感受性制御機構の解析
- 妊娠のほぼ全過程を非経口栄養法で管理した Crohn 病症例
- Studies on the cell mediated immunity of regional lymph nodes draining the uterus in pregnant women.
- The study of characteristic and function of mononuclear cell infiltrating the decidua in early human pregnancy.