胎児。新生児期における前駆丁リンパ球の機能分化に関する研究(仔牛胸腺ホルモンを用いての検討)
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概要
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胸腺ホルモン(Thymus Humoral Factor:THF)がT-cellの前駆細胞であるprccursor T-cell(PTC)をT-cellへ成熟させる作用をもつというGoldstein et al.^8^)^10^)の報告を基にして,著者らは仔牛胸腺より精製したTHFを用いin vitroにおいて,胎児・新生児末梢血内PTCのT-cellへの成熟を測定し,児発育にともなう細胞性免疫能の発達とそれに関与する胸腺機能の発達を間接的に検討すべく本研究を行なった.方法はヘパリン加全血O.1mlを試料とし,仔牛胸腺よりcolumn chromatographyにて純化したTHF(FractionII)5μg.Concanavalin A 50μg,10% fcs 含有のRPMI-1640,mediumを混和して培養,72時間後にリンパ(リ)球の反応性を測定し,THF非添加系に対する上昇率の増加をもってPTCの量を測定した.結果は,先ず妊娠中期の胎児では16.3±9.1%と成人の7.44±4.74%に比し有意に高く,妊娠第9月で31.9±3.1%,満期胎児で38.4±18.5%と発育と共に増加を示した.出生後は14.8±3.3%を急激に低下するが,なお成人に比し高い上昇率を示している.この成績により,胎児,新生児の血中にはTHF添加によりT-Cellへと成熟しうるPTCが多量存在するものと推察された.またmature T-cellのmitogenであるphytohemagglutinin(PHA)刺激に対する単位血液量当りのリ球の反応性は,胎児・新生児期を通じて上昇傾向をたどった.以上の成績をリ球産生能及び胸腺機能との相互関係において考察すると,妊娠中期の胎児ではリ球産生能,胸腺機能共に未発達の為にT-Cell数は少なくPTCの比率は多いが,成熟と共に胸腺機能の発達によりT-cell数が漸増する.しかしリ球産生能の方が優位である為PTCの比率はむしろ高い.出生後は胸腺より多量のTHFの放出によりPTCがT-cellへと成熟分化する結果,PTCの比率が激減する.このように胎児・新生児期における発育過程において,リ球産生能と胸腺機能とが相互に関連し,独立個体として生存するに必要な免疫機能を獲得してゆくものと判断された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-04-01
著者
-
迫 久男
大阪市立住吉市民病院
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
須川 佶
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
迫 久男
大阪市立大学 産婦人科
-
植田 勝間
大阪市立大学医学部産婦人科学教室
-
須川 佶
大阪市立大学
-
李 東満
大阪市立総合医療センター
-
李 東満
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
李 東満
大阪市立城北市民病院
-
李 東満
大阪市立大学医学部
-
中出 潤子
和泉市立病院
-
中森 宏
大阪・和泉市立病院
-
中出 潤子
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
中森 宏
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
植田 勝間
大阪市立大
-
迫 久男
大阪市立住吉市民病院産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
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