癌性腹膜炎に対するrecombinant interleukin-2併用OK-432腹腔内投与の基礎的, 臨床的検討
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概要
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OK-432を腹腔内に投与したのち腹腔内に誘導されてくる単核細胞をrIL-2で刺激し, 細胞障害活性を誘導し癌性腹膜炎に対する効果を検討した. 1. 腹腔内に腫瘍細胞を移植したマウスに対して, OK-432を腹腔内に投与し, その2日後より腹腔内にrIL-2を連日投与し, 薬剤非投与群, OK-432単独1回投与群, rIL-2単独連日投与群と生存期間を比較した. 2. 婦人科癌再発による癌性腹膜炎症例4例に対してOK-432およびrIL-2を同様に投与し, 腹水量, 腹水腫瘍細胞数, 腫瘍マーカーを指標として臨床的効果を検討した. 同時に腹水中に誘導されてくる単核細胞を採取し, rIL-2を添加した培養液中で培養し, 培養前後のリンパ球サブセットの変動を検討した. その結果, 動物実験においてはOK-432を腹腔内に投与し, その2日後より腹腔内にrIL-2を連日投与した群に有意の延命効果を認めた. 臨床例においては腹水の減少あるいは消失, 腹水癌細胞の減少あるいは消失, 腫瘍マーカーの低下などの効果を認めた. リンパ球サブセットの検討では, OK-432およびrIL-2の投与開始よりday 8に採取した腹水単核細胞においてはCD4+のサブセットが70〜90%と多数を占め, CD8+のサブセットは7〜17%と少数であった. two color analysisによりCD4+のサブセットをさらに解析すると, CD4+, CD29+のhelper inducer T cellが50〜77%と優位であり, CD4+, CD45RA+のsuppressor inducer T cellは6〜7%しか認められなかった. 10日間の培養後の検討ではCD4+のサブセットは27〜45%まで減少し, CD8+のサブセットはいずれも50%程度まで増加した. OK-432とrIL-2の併用は癌性腹膜炎に対するLAK療法の費用, 労力などの問題を解決する一方法となりうると考えられたが, 腹水中にはCD4+, CD29+のhelper inducer T cellが多数出現することからeffector細胞はLAK細胞ではない可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-05-01
著者
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
金岡 靖
大阪市大
-
梅咲 直彦
和泉市立病院
-
金岡 靖
大阪市立大学医学部産科婦人科
-
金岡 靖
大阪市立大学 大学院医学研究科女性病態医学(産科婦人科学)
-
金岡 靖
大阪市立大学 産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
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