卵巣癌の長期予後改善を目的とした間歇的CDDP療法の効果とその限界
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概要
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進行卵巣癌患者の初回治療後の補助療法として間歇的CDDP療法を試み, その効果と限界につき検討した。本療法はCDDP 25〜30 mg/body 5日間連続投与を1クールとし, 3カ月に一度繰り返すもので, 間歇期にはTegafur及びOK-432を投与した。対象はFIGO stage II, III, IV期で初回治療後臨床的寛解状態にある患者を中心に, 一部非寛解の患者やsecond look operation (SLO) で癌塊の遺残している患者や再発患者で腫瘍塊がほぼ摘出されたか, また化学療法が有効であった症例も含めた。組織型は主として上皮性腺癌であった。18例のうちSLO陰性, 又は臨床的寛解後間歇的CDDP療法施行例13例中, 再発したのは3例に過ぎず, この症例群からは現在まで死亡例は認めていない。なお再発群はCDDPの投与が3日であったもの, 投与期間が2年のもの等であった。一方SLO陽性又は臨床的寛解が得られていない症例5例の中から2例の死亡例を認めている。これらはIII期1例, 再発例1例で生存期間は各々25カ月, 22カ月であった。しかし腫瘍マーカーが陽性のため臨床的寛解に至らなかった症例でもCDDP間歇療法中, 陰性化した症例も認めている。間歇的CDDP療法を施行した症例の生存率を非施行例を対照としてKaplan-Meier法を用い検討すると, 間歇的CDDP療法の有効性は明らかであった。以上, 間歇的CDDP療法は生存率の延長に有効であった。特にSLO陰性又は臨床的寛解症例での長期予後の改善に有効であった。また投与期間は1クール5日間で, できるだけ長期の投与が必要と考えられた。一方, SLO陽性, 又は臨床的非寛解の症例に対しては限界があり, 長期予後改善には更に工夫が必要と考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-12-01
著者
-
津田 浩史
大阪市立桃山市民病院
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
山本 彰
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
中野 昌芳
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
松本 義隆
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
津田 浩史
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
川端 政実
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
須川 佶
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
梅咲 直彦
和泉市立病院
-
山本 彰
石切生喜病院婦人科
-
川端 政実
大阪市立総合医療センター
-
川端 政実
大阪市立大学 産婦人科
-
須川 佶
大阪市立大学
-
須川 佶
大阪市立大学産科婦人科学教室
-
松本 義隆
大阪市大産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
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