正常婦人末梢血肉リンパ球の機能的不均一性について
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概要
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担癌個体における免疫学的防禦機構には, リンパ球を主体とする細胞性免疫が中心的な役割を演じていると考えられる. 近年リンパ球機能検討方法の画期的な進展にともない, 形態学的に一様にみえる「小リンパ球の機能的不均一性」が特に注目されるにいたつた. 筆者らは, まず正常婦人末梢血肉リンパ球の機能的不均一性を検討する目的で, 細胞比重差による分両遠心分離をとりいれた簡易分画化法を確立した. ついでこれを応用して末梢血内リンパ球の細胞比重の立場からの不均一性とそれに基き分離された各分画における機能的差異について検討し, あわせて加令現象にともなう変動を追究した. (1) 簡易分画化法により, リンパ球群を高比重分画 (比重1,068〜1,072に相当) および低比重分画 (比重1,060〜1,068に相当) に分かち, 両分画のリンパ球構成率を算出した. その結果, 各種リンパ球が両分画に分離され, 特に小リンパ球における細胞比重の不均一性を実証した. (2) 両分画のリンパ球分離純度は約70〜90%で, 分離リンパ球数は低比重分画で (6.2±2.4)×10^6個/ml, 高比重分画で(6.1±2.0)×10^6個/mlとほゞ均等に分離された. (3) 加令にともなう各種リンパ球構成率の変動については, 両分画中の小リンパ球構成率の減少, ことに高比重分画中の小リンパ球構成率の減少傾向が顕著であつた. (4) 胸腺由来リンパ球機能の一指標と考えられるPHAによる Blast cell 出現率は高比重分画で平均59%, 低比重分画で平均36%であり, 加令にともない減少傾向を示した. 以上のごとく, 小リンパ球群の不均一性が人末梢血液内にも存在する事を認め, さらに機能的に異なる小リンパ球群の subpopulation を簡易分画化法により分離しえたことは, 今後複雑な免疫機構, 例えば加令にともなう免疫能の低下, 癌発生と癌進展におけるリンパ球の対応性などの解明の一助となると考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-04-01
著者
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
山片 重房
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
山片 重房
大阪市立大学
-
山片 重房
大阪市立大学医学研究科産婦人科学
-
植田 勝間
大阪市立大学医学部産婦人科学教室
-
須川 信
大阪市立大
-
稲本 英治
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
木下 喜博
大阪市立大学医学部第2生理学教室
-
植田 勝間
大阪市立大
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
-
木下 喜博
大阪市立大
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