妊婦末梢血単球・マクロファージ系細胞の細胞性免疫能におよぼす影響

概要

論文の詳細を見る
近年,細胞性免疫を担う細胞として注目されている単球9マクロファージ系細胞(Mφ)は,妊娠中の細胞性免疫の変遷においても重要な役割を果たしているものと推察される.そこで正常妊娠における妊婦末梢血中のMφ機能をT細胞に対する補助能の面から検討した.妊婦末梢血Mφのリンパ球に対する比率,および絶対数はα-naphtyl butylate染色を用いて算定した.その結果,Mφのリンパ球に対する比率は2ndtrimesterで最も高値を示した(p<0.01).また絶対数は3rdtrimesterで有意に上昇(p<0.05)し,妊娠中大きく変動していることが判明した.そこで次にMφ機能の変遷を各trimesterで検討した.その結果,1st trimesterでは低下傾向を示すが,3rd trimesterで有意の上昇を示した(p<0.01).また妊娠月数別の検討でも,妊娠経過とともに低下を示し7カ月で最低値(p<0.01)となり,その後上昇し,10カ月で最高値を示し,分娩後非妊域に復した.そこで妊娠経過を伴うMφ機能を変遷に関与する因子として妊婦血清を取り上げ,そのMφ機能におよぼす影響を検討すると,3rd trimesterの妊婦血清がMφ機能を最も上昇させる事により,それがMφ機能に関与していることが判明した.又その機序の解明のため,妊娠経過に伴い多いな変動をきたす各種ホルモンのMφ機能におよぼす影響を検討すると,estrogenはMφ機能を41%上昇させ,逆にcortisolは40%も低下させた.以上により妊婦の細胞性免疫能の変遷にMφ重要な役割を果たすことが示唆された.そして3rd trimesterの妊婦血清はlymphocyte機能は著名に抑制するのに反し,Mφ機能は,賦活的に働くことが認められ,その機序に種々のhormoneが関与していることが判明した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-03-01

妊婦末梢血単球・マクロファージ系細胞の細胞性免疫能におよぼす影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク