子宮頚癌の臨床進行期分類と Lymphocyte-Subpopulation の変動について
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概要
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末梢血内リンパ球の形態と機能は決して一様なるものではないと認識されている. 今回我々は, 粘着法と細胞比重差による分画遠心分離を組合せた簡易分画化法を用いて, リンパ球 subpopulation を分離し, 免疫担当細胞の濃縮された高比重分画の機能を種々検討した結果, その subpopulation における免疫活性の低下と癌進展との間に密接なる関係の存在することを認めた. (1) 頚癌各期における末梢血内総リンパ球数はI期2202/mm^3, II期1908/mm^3, III期1138/mm^3, IV期1159/mm^3, 対照群2154/mm^3のごとくIII・IV期に有意なる低下を認めた. (2) 頚癌各期における高比重分画中の小リンパ球構成率はI期59.2%, II期64.5%, III期32.0%, IV期18.0%, 対照群61.4%のごとくIII・IV期に著しい低下が認められ, I・II期群との間に有意差が存在した. (3) それに対して, 低比重分画中の大リンパ球構成率はI期13.3%, II期9.8%, III期50.0%, IV期62.4%, 対照群4.3%のごとくIII・IV期に著しい増加が認められ, I・II期群との間に有意差が存在した. (4) 頚癌各期における高比重分画中のPHAによる blastoid cell 出現率はI期61.8%, II期47.8%, III期20.0%, IV期8.8%, 対照群63.8%のごとくIII・IV期に著しい低下が認められた. (5) 頚癌各期におけるツ反応の結果は頚癌進展とともに陽性率が減少する傾向を認めた. そこで著者らは以上の5項目の criteria をもととして子宮頚癌進展度 Score の作成を企てた. この Score による頚癌進展度の診断は, 現行の視診・触診を主体とする臨床進行期診断法と趣きを異にし, 5項目 criteria により頚癌進展度を客観的に把握せんとする新しい診断法である. この子宮頚癌進展度 Score を加味することにより, 頚癌進展度のより適確なる把握, とくに手術可能性 (根治可能性) の予知, さらに再発の早期診断および予後判定などに大きく貢献するものと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-05-01
著者
-
山片 重房
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
山片 重房
大阪市立大学
-
須川 佶
大阪市立大学
-
稲本 英治
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
植田 勝間
大阪市立大
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
-
木下 喜博
大阪市立大
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