ルスチカタバコ種子の発芽速度と発芽斉一性における遺伝子型と環境との相互作用のダイアレル分析
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概要
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作物種子は,一般に播種後速やかにかつ一斉に発芽することが望ましい.本試験では,ルスチカタバコの6自殖系統間でダイアレル交配したF_1種子を用いて,種々の実験室内環境条件における発芽速度と発芽時間の斉一性の遺伝様式を調べた.発芽床としてシャーレ中の寒天培地を用い,温度,塩分濃度,光条件について各3水準からなる計9環境を設けた.種子置床後12時間毎に発芽数を調査し,平均発芽時間と発芽時間の標準偏差をそれぞれ発芽速度と発芽斉一性の尺度とした. 発芽速度と発芽斉一性における遺伝的変異は,ともに遺伝子の相加的効果と非相加的効果,および母体効果によっていた(Table3).非相加的効果は,2,3の環境条件を除くと優性効果に起因しており,発芽速度の高い方向ならびに発芽斉一性の高い方向に優性を示した(Fig.1). 遺伝子型と環境との相互作用が両形質で認められ,環境変化に対する反応性が遺伝的に異なることがわかった.これら相互作用は,親系統の平均値を環境指標としたとき,一次回帰の直線成分(回帰係数)と残差成分(回帰からの平均平方偏差)に分割でき,直線成分による説明量がより大きかった(Table5).発芽速度の環境変化に対する反応性は,直線成分,残差成分ともに主として相加的効果と母体効果によっていた.発芽斉一性の環境変化に対する反応性についても同様の結果が得られた.両形質の反応性に及ぼす非相加的効果も有意であったが,ともに直線成分に関してF_1と親系統の間には平均的差異がなかった(Tables4,5).さらに,発芽斉一性の残差成分を除いてエピスタシスが認められ,環境変化に対する反応性の遺伝様式は単純ではないと推察された(Fig.3).
- 日本育種学会の論文
- 1988-03-01
著者
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