模擬草地造成初期における牧草個体の空間分布の変化
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概要
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造成初期の牧草種の空間分布と分布相関の変化を明らかにするために,温室内に設定した模擬草地(41.5×26.5×8.0cm)で各構成種の空間分布を調査した。チモシーの単播区と,チモシーとオーチャードグラス,ケンタッキーブルーグラス,シロクローバとの各混播区を作り,各草種の分布図を基にMoristaのIδ指数とRδ指数を算出した。散播された種子は,全草種をこみにした総個体についてはランダム〜弱い集中的な空間分布,各構成種についてはランダム〜集中分布を示し,混播区の多くで構成種間の分布相関は0であった。播種後18日目の実生の分布は方形区によっては集中性が強まり,分布相関も正になった。しかし,4ヵ月後には総個体について再び集中性が弱まり,その後の変化は小さかった。最終調査時の各構成種の空間分布は著しく異なり,優占種は一様〜弱い集中分布,従属種は集中分布を示した。これらの結果は,草地における牧草種の空間分布が全草種をこみにした場合,造成直後に集中分布しても急速にランダム化していくこと,各構成種については,群落内の種間の優劣関係が形成される過程で,優占種がランダム〜一様分布に変化し,従属種が集中分布に変化することを示唆する。
- 日本草地学会の論文
- 1986-01-31
著者
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澤田 均
静岡大学農学部
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澤田 均
北海道大学農学部工芸作物学教室
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澤田 均
北海道大学薬学部
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津田 周彌
北海道大学農学部
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高橋 哲也
北海道大学農学部工芸作物学教室
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高橋 哲也
北海道大学農学部工芸作物学教室:(現)雪印種苗中央研究農場
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津田 周彌
北大 農 農場
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