人工草地造成初期におけるチモシーの個体群動態

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人工草地造成初期の様々な環境におけるチモシーの個体群動態を明らかにするために,模擬草地実験と圃場実験を行った。模擬草地実験は育苗箱を用い,放任・刈取・湛水処理下にチモシー単播区と他草種(オーチャードグラス,ケンタッキーブルーグラス,シロクローバ)との混播区を設定した。圃場実験ではチモシー単播区のみを造成した。両実験で播種後約半年間の全草種の出生・死亡と,チモシーの分げつ数と草丈を調査した。模播草地実験では,全草種をこみにした総個体数およびチモシーの個体数が,湛水区を除き播種後3ヵ月間に急激に減少した。最終調査時の個体数は,湛水区>刈取区>放任区の順で多かった。チモシーの個体数は放任区と刈取区のオーチャードグラスとの混播区で特に減少したが,湛水区では個体数が多く,オーチャードグラスよりも多かった。チモシーの分げつ数の増加は少なく,特に刈取区で少なかった。草丈は放任区で高く,湛水区で低かった。圃場実験では,チモシーの個体数は初期に減少し,分げつ数は時間の経過とともに増加した。分げつ数・草丈の大きい個体は生存しやすく,小さい個体は死亡しやすかった。初期に分げつ数・草丈の大きい個体はその後も大さい傾向にあった。これらの結果より,草地造成初期のチモシーの個体群動態が環境によって異なること,チモシー個体群内の抑圧-被圧関係がきわめて初期に形成されることが示唆された。
日本草地学会の論文
1985-07-30

人工草地造成初期におけるチモシーの個体群動態

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