シバ型草地のシロクローバパッチにおける訪花行動とその結実への影響
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概要
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シバ型草地にパッチ状に分布するシロクローバ集団において,これらパッチにおける種子生産は集団サイズを維持する上できわめて重要なプロセスである。本稿ではパッチ状環境の訪花行動とそのシロクローバの結実に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。検討した設問は次のとおりである。(1)開花中の頭花数の多いパッチには送粉者が多く訪れるか? (2)開花中の頭花数の多いパッチは結実程度も高くなるか? (3)頭花間にも開花齢に応じた訪花頻度,滞在時間のちがいが生じるか? シバーシロクローバ共存草地から10個のパッチを選び,訪花昆虫,訪花行動を記録するとともに,シロクローバ頭花の結実程度を測定した。主な送粉者はヒメハナバチ類であった。開花中の頭花の多いパッチほど,訪花頻度が高かった(r=0.982)。シロクローバ頭花の一莱当り平均種子数と結果率はそれぞれ0.472個と27.4%であった。これらの結実パラメータとパッチ当り頭花数との間には有意な相関関係がなかった。開花最盛期の頭花は開花初期の頭花に比べて,より頻繁に訪花された。これらの結果から,(1)パッチによって訪花頻度が異なり,それは開花中の頭花数のちがいによること,(2)訪花頻度の高いパッチだからといって,必ずしもシロクローバ頭花の結実程度は高くならないこと,(3)送粉者は頭花の集合体としてのパッチを選択するだけでなく,各頭花をも選択している可能性のあることが示唆された。
- 日本草地学会の論文
- 1995-01-31
著者
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