放牧草地におけるチモシー個体群の分布様式

概要

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放牧草地におけるチモシーの分布様式の変異を知るために,湿地・軽い採食圧下の平坦地・重い採食圧下の平坦地の3ヵ所でチモシーのサイズ分布と分布様式を調査した。チモシーのサイズ分布は小さい個体が多く,大きい個体が少ないL字型分布で,特に,採食圧の重い平坦地では小さい個体が多かった。MorishitaのI_δ指数を用いて,チモシーの分布様式を解析した。湿地では強い集中分布,採食圧の重い平坦地では弱い集中分布,採食圧の軽い平坦地では中間的〜弱い集中分布であった。採食圧の軽い平坦地で,小個体は集中分布,大個体はよりランダム分布であった。採食圧の軽い平坦地で優占するオーチャードグラス株のサイズ分布と分布様式を調査し,Morishitaの分布相関指数R_δを用いてチモシーとオーチャードグラス間の分布の関係を解析した。オーチャードグラス株のサイズ分布はL字型であった。分布様式はランダム分布あるいは一様分布であった。分布相関指数R_δは,チモシーとオーチャードグラス間では弱い負の値,チモシーの各サイズ間では正,オーチャードグラスの各サイズ間では負の値であった。これらの事実は,採食圧の軽い平坦地ではオーチャードグラス株の分布がチモシーの分布を調節し,チモシーがオーチャードグラス株間に相引的に集中分布すること,チモシーがその利用できる空間を不完全に利用していることを示唆する。
日本草地学会の論文
1985-02-25

放牧草地におけるチモシー個体群の分布様式

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