チモシーの自生集団における生態型的変異に関する研究 : III.高温に対する生育反応

概要

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北海道内各地より収集した自生集団20系統と育成品種3系統を供試して,高温条件に対する反応の生態的分化を検討した。ポット植えした各系統の実生を,夏期に,高温区(無加温の温室内)と対照区(屋外)で栽培し,分げつ数と主茎の諸形質を調査した。葉の大きさの高温に対する反応に基づき,自生集団を2群(I,II)に分けた。I群は,日高山脈以西より収集された集団からなり,高温区で葉の生長が促進された。一方II群は,1集団を除けば,いずれも日高山脈以東より収集された集団で構成され,高温区で葉の生長が抑制される傾向にあった。育成品種では,その抑制傾向が顕著であった。また,自生集団I群は高温区で茎長の増加が大きく,出穂日が早まったのに対し,II群は高温区で穂長の減少が大きく,出穂日が遅れた。育成品種は高温区での穂長の減少率が3群中最大であった。自生集団I群はII群および育成品種よりも,高温耐性がより高いと推察され,この自生集団における高温耐性の差異を,自生地の気候条件との関連で論議した。
日本草地学会の論文
1982-04-28