シクロプロトリンのラットにおける代謝
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概要
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シクロプロトリンは水稲, 野菜, 果樹等の害虫を防除するために開発された殺虫剤である.Cyclopropane環の3位を^<14>Cで標識したシクロプロトリンを用いて, ラットにおける吸収, 分布, 排泄および代謝について検討した.ラットに経口投与した^<14>C-シクロプロトリンは速やかに糞尿中に排泄された.168時間までの累積排泄率は, 糞中に63%, 尿中に36%であった.単回経口投与後の血液および組織中の放射能は投与後3時間で最高になった.7日間反復経口投与(1回/日)した各組織中の放射能は, 脂肪と皮膚を除いて3日以後1回経口投与時の約3.6倍の濃度となり定常状態に達し, 投与終了後速やかに減衰した.脂肪と皮膚中の放射能は他組織に比較して高く, 減衰速度も遅かった.最終投与7日後, 各組織に残存する放射能はわずかであるか, もしくは検出されなかった.経口投与された^<14>C-シクロプロトリンは(RS)-2, 2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acidに加水分解された後, 4位エトキシ基がさらに酸化されて尿中に排泄された.一方, 未変化体(投与量の48%)は糞中に排泄された.代謝物として, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl (RS)-2, 2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropanecarboxylate, (RS)-2, 2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2, 2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2, 2-dichloro-1-[4-(2-hydroxyethoxy) phenyl]cyclopropanecarboxylic acidおよびそれらの抱合体が同定された.主代謝物は(RS)-2, 2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acidであり, 投与量の39%(尿中に31%, 糞中に8%)を占めた.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-11-20
著者
-
山口 勇
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
-
山口 勇
日本農薬学会
-
加藤 義郎
Fine Chemicals Group Agrochemicals Division Ageo Research Laboratory Nippon Kayaku Co. Ltd.
-
瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory, Agrochemicals Division, Fine Chemicals Group, Nippon Kayaku Co., Ltd.
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瀬口 宏一郎
Fine Chemicals Group, Agrochemicals Division, Ageo Research Laboratory, Nippon Kayaku Co., Ltd.
-
浅香 四郎
Fine Chemicals Group, Agrochemicals Division, Ageo Research Laboratory, Nippon Kayaku Co., Ltd.
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浅香 四郎
Fine Chemicals Group Agrochemicals Division Ageo Research Laboratory Nippon Kayaku Co. Ltd.
-
瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory Agrochemicals Division Fine Chemicals Group Nippon Kayaku Co. Ltd.
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