シクロプロトリンのイネにおける代謝
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概要
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シクロプロトリンは水稲, 野菜, 果樹等の害虫を防除するために開発された殺虫剤である.Cyclopropane環の3位を^<14>Cで標識したシクロプロトリンを用いて, イネにおける吸収移行および代謝について検討した.^<14>C-シクロプロトリンを水面処理すると, 3.5葉期におけるイネ体の放射能濃度は7日まで経時的に増加し, 以後ほぼ同濃度で推移した.処理132日後の茎葉と玄米には^<14>C-シクロプロトリン換算で0.161ppmと0.157ppm相当の放射能が移行残留した.茎葉から未変化のシクロプロトリンが微量検出されたが, 玄米からは検出されなかった.イネの葉面に塗布した^<14>C-シクロプロトリンはほとんど浸透移行せず, 塗布28日後においても処理放射能の98%が塗布部位に残留した.出穂期のイネに茎葉散布した^<14>C-シクロプロトリンも同様な挙動を示し, 玄米への放射能の移行は非常に少なかった.散布直後植物体全体に9.33ppmの^<14>C-シクロプロトリンが付着した.51日後の収穫時, 茎葉に残留した^<14>C-シクロプロトリンは9.454ppmであり, 玄米は0.001ppm以下であった.散布51日後茎葉に残留したシクロプロトリンの4種立体異性体の存在比に変化は認められなかった.イネ体から7種の代謝物が検出され, 主代謝物は(RS)-2, 2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2, 2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl (RS)-2, 2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropranecarboxylateおよび(RS)-1-[(RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl]2, 2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl)cyclopropaneであった.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-11-20
著者
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加藤 義郎
Fine Chemicals Group Agrochemicals Division Ageo Research Laboratory Nippon Kayaku Co. Ltd.
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瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory, Agrochemicals Division, Fine Chemicals Group, Nippon Kayaku Co., Ltd.
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瀬口 宏一郎
Fine Chemicals Group, Agrochemicals Division, Ageo Research Laboratory, Nippon Kayaku Co., Ltd.
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小林 久文
Fine Chemicals Group Agrochemicals Division Ageo Research Laboratory Nippon Kayaku Co. Ltd.
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堺 信一
Fine Chemicals Group, Agrochemicals Division, Ageo Research Laboratory, Nippon Kayaku Co., Ltd.
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堺 信一
Fine Chemicals Group Agrochemicals Division Ageo Research Laboratory Nippon Kayaku Co. Ltd.
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瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory Agrochemicals Division Fine Chemicals Group Nippon Kayaku Co. Ltd.
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