イネいもち病防除におけるN-シアノメチル-2-クロロイソニコチンアミドの作用機構
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概要
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N-Cyanomethyl-2-chloroisonicotinamide (NCI)は非殺菌性のイネいもち病防除化合物である.プラスチックポットに育成した3.5葉期のイネにNCIを水面施用し, イネいもち病菌分生胞子を接種すると16時間後からイネ葉の呼吸が上昇した.^<14>C-酢酸を基質とした場合, NCI処理区と無処理区で^<14>CO_2の生成増に顕著な差はなかった.一方, ^<14>C-グルコースを基質とすると, 感染初期にNCI処理区で一時的な^<14>CO_2の生成増が認められた.また, 粗脂質への^<14>Cの取り込みは, 感染36時間後にはNCI処理区で増加が認められた.ポリアミン生合成に関与するアルギニン脱炭酸酵素活性はNCI処理に関係なく胞子接種後いずれも経時的に微増したが, オルニチン脱炭酸酵素活性とS-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素活性はNCI処理区ではほとんど変動せず, 無処理区では減少した.これらの結果はNCIによって罹病時のイネ体における解糖系と脂質代謝が活性化されていることを示唆している.また, ポリアミン代謝はストレスに対して敏感に反応することから, NCI処理イネ体における感染後のポリアミン生合成関連酵素活性減少の阻害は, イネ体の感染による組織ダメージが抑制されていることを示している.リポキシゲナーゼ活性とペルオキシダーゼ活性はNCI処理によってその合成時期が速められ, 非親和性の組合せで見られるような消長を示した.
- 日本農薬学会の論文
- 1992-05-20
著者
-
山口 勇
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
-
関戸 茂子
The Institute of Physical and Chemical Research
-
関戸 茂子
理化学研究所
-
山口 勇
Riken (the Institute Of Physical And Chemical Research)
-
瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory, Agrochemicals Division, Fine Chemicals Group, Nippon Kayaku Co., Ltd.
-
黒滝 美音子
Ageo Research Laboratory, Agrochemicals Division, Fine Chemicals Group, Nippon Kayaku Co., Ltd.
-
黒滝 美音子
Ageo Research Laboratory Agrochemicals Division Fine Chemicals Group Nippon Kayaku Co. Ltd.
-
瀬口 宏一郎
Ageo Research Laboratory Agrochemicals Division Fine Chemicals Group Nippon Kayaku Co. Ltd.
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