作物葉上の水滴の比付着力とそれに及ぼす影響要因
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概要
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作物葉およびワックス類似成分表面上の界面活性剤0.2%水溶液(表面張力γ1 : 28.5∿72.5mN m^<-1>)の比付着力F_sを新しい付着モデルによって算出した.イネ・コムギ・ハトムギ・キャベツおよびコーン(濡れ特性WCP-I)のF_sは高いγ1では0または小であるが, γ1 40∿62mN m^<-1>で急に大きいF_s(30∿45mN m^<-1>)を生じ, その後γ1の低下とともに直線的に3∿5mN m^<-1>まで低下した.ナツダイダイ・ササゲ・ワタ・ピーマン・サツマイモとソラマメおよびワックス類似成分表面(WCP-II)では高いγ1で大きいF_sを生じ, γ1の低下とともに直線的に減少した.WCP-Iの葉面はいずれもerect filament-platelet-rodのepicuticular wax(epi-wax)の密な着生を, また, WCP-IIの葉表面はgranule-crust-amorphism-rod(not erect)-polygonの密-粗なepi-waxなどの着生(状態)を示した.F_sの大きさは主にγ1と⊿θ[=θ_a(最大前進接触角)-θ_r(最小後退接触角)]に依存していると考えられた.⊿θは水滴-葉表面間の相互作用パラメーターであり, 高いγ1でair filmが形成されると⊿θ=0または小となるが, そうでないと葉表面の微細構造, 特にepi-waxによるroughnessの大きいほど大きい⊿θを生じた.葉表面のF_sはその濡れ特性に関連しており, 主に, γ1とepi-waxの微細構造のroughnessによって生ずるθ_aとθ_rの相対的な大きさ(⊿θ)により決定されると考えられた.
- 日本農薬学会の論文
- 1993-02-20
著者
-
山口 勇
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
-
山口 勇
Riken (the Institute Of Physical And Chemical Research) And Riken Plant Science Center
-
渡部 忠一
アグロカネショウ(株)研究所
-
渡部 忠一
The Institute of Physical and Chemical Research
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