新規トリアゾール系種子消毒用殺菌剤イプコナゾールのイネ体における代謝
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概要
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種子消毒後のイネ幼苗および登熟期の穀粒部におけるイプコナゾール((1RS, 2SR, 5RS;1RS, 2SR, 5SR)-2-(4-chlorobenzyl)-5-isopropyl-1-(1H-1, 2, 4-triazol-1-ylmethyl)cyclopentanol)の代謝について検討した.トリアゾール環を標識した[T-^<14>C]-イプコナゾール, およびベンジルメチレン位を標識した[B-^<14>C]-イプコナゾールをイネ種子あるいは水耕液に処理し, 温室内で栽培した.種子処理において播種22日後では, 添加したイプコナゾールの40∿41%の放射能が土壌から, また, 27%が種子および根部から回収された.イプコナゾールの地上部への移行性は乏しく, 茎葉部から検出されたのは添加量の0.36∿0.42%にすぎなかった.種子あるいは水耕液処理後のイネ幼苗中の代謝物は, 主としてイソプロピル基(メチル, メチン)およびベンジルメチレン部位の酸化物であった.また, 水溶性画分には, 微量ながら抱合体が含まれることが示唆された.さらに種子処理したイネを収穫期まで栽培し, 穀粒中の放射性代謝物を分析したところ, 玄米中に検出された量は微量であったが, [T-^<14>C]-イプコナゾール処理では2.5μg eq・/kg, また, [B-^<14>C]-イプコナゾール処理した場合には0.2μg eq・/kgと^<14>C標識部位により差が認められた.[T-^<14>C]-イプコナゾール処理では玄米中の放射能のほとんどは, 植物体の抽出残さと水溶性画分に認められ, 親化合物あるいは幼苗中に検出された代謝物は検出されなかった.
- 日本農薬学会の論文
- 1994-11-20
著者
-
千田 常明
Nishiki Research Laboratories Kureha Chemical Industry Co. Ltd.
-
山口 勇
The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN)
-
永塚 隆由
Nishiki Research Laboratories Kureha Chemical Industry Co. Ltd.
-
山口 勇
Riken (the Institute Of Physical And Chemical Research)
-
齋藤 康毅
Nishiki Research Laboratories, Kureha Chemical Industry Co., Ltd.
-
佐竹 慶吾
Chemicals and Agrochemicals Division, Kureha Chemical Industry Co., Ltd.
-
佐竹 慶吾
Chemicals And Agrochemicals Division Kureha Chemical Industry Co. Ltd.
-
齋藤 康毅
Nishiki Research Laboratories Kureha Chemical Industry Co. Ltd.
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