有機ヒ素殺菌剤 ammonium iron methanearsonate の土壌中における代謝運命
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概要
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畑条件下の土壌(静岡, 佐賀, 岡山)にMAFA(ammonium iron methanearsonate)を乾土当りヒ素濃度として10ppmとなるよう施用し, ヒ素化合物の動態について調査した.MAFAは無機ヒ素(Inorg-As), dimethylヒ素(DM-As), trimethylヒ素(TM-As)に変換されながら徐々に減衰した.半減期はそれぞれ32日(静岡), 22日(佐賀), 32日(岡山)であった.メチル化体のDM-AsやTM-Asは一時期ある程度の増加をみたのち, 再び消失するのに対し, 脱メチル化体のInorg-Asは継続的に増加した.岡山土壌で, 比較的高濃度のDM-Asが長期残留する現象が認められた.これは脱メチル化速度の遅緩に起因する現象であることが, dimethyl-arsinic acid(DMAA)とtrimethylarsine oxide(TMA=0)の動態から示唆された.土壌の代謝特性は他の土壌の微生物相を移植した場合でも大きく変化しないことから, 土壌の理化学的要因(吸着等)が代謝特性を大きく規定しているものと推察される.湛水状態でグルコースが共存する土壌条件化で脱メチル化反応の著しい抑制がみられた.畑条件, 湛水条件にかかわらず, グルコースが共存した場合のみ, 揮発生ヒ素の発生が認められ, その主成分はTM-Asであることが確認された.
- 日本農薬学会の論文
- 1985-11-20
著者
-
俣野 修身
残留農薬研究所
-
後藤 真康
Chemistry Division, The Institute of Environmental Toxicology
-
俣野 修身
Institute of Environmental Toxicology
-
後藤 真康
Institute of Environmental Toxicology
-
小田中 芳次
Institute of Environmental Toxicology, Mitsukaido Institute
-
小田中 芳次
残留研
-
後藤 真康
The Institute Of Environmental Toxicology Mitsukaido Inst.
-
土屋 則子
Institute of Environmental Toxicology
-
小田中 芳次
Institute Of Environmental Toxicology Mitsukaido Institute
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