畑地圃場における自然降雨による農薬の地表流出
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
宮崎県佐土原町の圃場において, キャベツを定植した灰色低地土の緩斜面圃場(A1 : 1.7°, 5a)で1997年5∿7月の梅雨期に地表水の流出が計13回観察された.この圃場にダイアジノン粒剤の定植時処理(a.i. 300 g/10 a), その55日後にTPN (400 mg/l)とジメトエート(430 mg/l)の混用液(239 l/10 a), その8日後にTPN, ダイアジノン(400 mg/l)とジメトエートの混用液(224 l/10 a)を散布した.表流水によって流出したTPNの96%(流出直後)から47%(終了直前)は, 浮遊物質(SS)とともに流出した.一方, ダイアジノンとジメトエートはそれぞれ33∿44%および1%とほぼ一定の割合でSSとともに流出した.また, 同年9∿10月の台風時期にはA1圃場の傾斜を1.15°に調整した圃場(A2)と黒ボク土の圃場(B, 5 a, 傾斜1.15°)にダイコンを播種して地表水の流出頻度を比較した.その結果, 灰色低地土では4回, 黒ボク土では台風時の降雨によって2回の地表流出が認められた.灰色低地土のA1圃場では平均降雨強度5 mm/hr前後以上で, A2圃場では10 mm/hr以上の降雨によって, また黒ボク土のB圃場では20 mm/hr以上の降雨によって地表水の流出が生じた.さらに, 人工降雨装置を用いた屋内小規模地表流出試験系でも灰色低地土からは黒ボク土よりも容易に表流水が発生した.
- 日本農薬学会の論文
- 2002-11-20
著者
-
高橋 義行
社団法人日本植物防疫協会研究所
-
長岡 広行
社団法人日本植物防疫協会研究所
-
高橋 義行
Research Institute of Japan Plant Protection Association
-
高田 正司
Japan Plant Protection Association
-
小田中 芳次
Institute of Environmental Toxicology, Mitsukaido Institute
-
井園 佳文
Miyazaki Experiment Station of Japan Plant Protection Association
-
長岡 広行
Miyazaki Experiment Station of Japan Plant Protection Association
-
沼田 京太
Miyazaki Experiment Station of Japan Plant Protection Association
-
藤田 俊一
Japan Plant Protection Association
-
藤田 俊一
日本植物防疫協会研究所
-
小田中 芳次
Institute Of Environmental Toxicology Mitsukaido Institute
関連論文
- C20 施設内におけるコナガ合成性フェロモンの交信攪乱効果について【第3報】(生理活性物質)
- 殺虫剤粒剤処理が数種天敵生物に与える影響
- I110 土着天敵と導入天敵の有機りん系殺虫剤3剤に対する感受性
- C209 野外における有機りん系殺虫剤3剤の葉面残留量と天敵に対する影響
- 農耕地における農薬の動態解析と評価法の開発(学会賞受賞論文(業績賞・技術))
- AL4 農耕地における農薬の動態解析と評価法の開発
- 縮桑から分離されたウイルスの性状(関東部会講演要旨,平成18年度地域部会講演要旨)
- (290) Abutilon mosaic virusに起因する「斑入り」アブチロン(平成18年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- D213 標的外水生昆虫の水田農薬に対する感受性比較(一般講演)
- 斑入りアブチロンから検出された5株のBegomovirusの性状(関東部会講演要旨,平成17年度地域部会講演要旨)
- 旧タバコモザイクウイルス保存株の血清学的な検証
- 寄生バチであるコレマンアブラバチに対するクロロタロニル(TPN)とスピノサドの影響評価試験
- 寄生蜂コレマンアブラバチ Aphidius colemani (Hymenoptera : Braconidae ; Aphidiinae) に対する4種農薬の影響
- イチゴ葉における残留農薬の天敵への影響
- (327)MAFFジーンバンクおよび日植防研の旧TMV系統保存株の血清学的な検証(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (412)インパチエンスネクロティックスポットウイルス(INSV)の抗体作製と血清診断法の開発(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (274)オドントグロッサム属およびその属間交雑洋ランに発生したBurkholderia andropogonisによる黒斑細菌病(新称)(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (101)オドントグロッサムおよびオドンティオダに黒点病徴を生じるFusarium属菌の同定(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (100)Fusaruim guttiformeによるオドントグロッサムおよびオドンティオダ黒点病(新称)(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 畑地圃場における自然降雨による農薬の地表流出
- 異なる施用法によるニセダイコンアブラムシ (Lipahis erysimi) への農薬暴露量の比較
- 農薬の環境動態試験の現状
- ハスモンヨトウに対するBacillus thuringiensis製剤の生物活性に及ぼす植物葉の影響
- Chlorothalonil の付着量の免疫学的分析による静電式常温煙霧法の評価
- 煙霧法によって散布された chlorothalonil の付着量の免疫学的測定
- H119 殺虫剤粒剤処理が数種天敵生物に与える影響(一般講演)
- G314 Beauveria菌製剤を用いた少量静電散布によるアザミウマ類防除(毒物学・虫剤作用機構・抵抗性 防除法 害虫管理 IPM)
- オンシツツヤコバチの越冬の可能性
- コガネムシ類幼虫に対する殺虫剤圃場試験法の検討-第1報-ドウガネブイブイの放虫とカンショの被害
- 畑圃場における農薬鉛直浸透評価法としての土壌コア試験
- C210 土壌コア法による水田農薬鉛直浸透評価試験
- B122 鉛直浸透試験 : 土壌及び土壌水における農薬の挙動
- BT 剤の殺虫性結晶蛋白の ELISA 法による迅速・定量検出
- バチラスチューリンゲンシスブイブイ株の殺虫性トキシンを検出するELISAの開発
- 農薬の地表流出シミュレーションのための小規模モデル試験系の開発
- 自然降雨による圃場規模での 3 種の農薬の流乏試験
- 市販のイムノアッセイ・キットによる農薬の地表流出と圃場内収支の分析
- 第 22 回農薬残留分析研究会
- BT剤のハスモンヨトウに対する殺虫効果と寄主植物の関係
- 有機ヒ素殺菌剤 iron methanearsonate と ammonium iron methanearsonate のイネ幼苗における吸収, 移行および代謝
- 有機ヒ素殺菌剤 ammonium iron methanearsonate の土壌中における代謝運命
- 有機ヒ素剤 ferric methanearsonate の土壌中における代謝運命
- イチゴにおけるBT剤のハスモンヨトウに対する殺虫効果
- E38 施設内におけるコナガ合成性フェロモンの交信攪乱効果について【第2報】(生理活性物質)
- A306 夏季施設内におけるトマト害虫の生物防除(寄生・捕食生物的防除)