越智キヨ氏の台所設計について
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概要
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本研究は,家政学の中で住居分野の研究の先駆者として,越知キヨ氏の業績を紹介するものである。その研究内容は家庭生活への指導性と予言性を含んでおり,なお今日的意義をもつと考える。明治・大正・昭和初期時代の家事科の中で,住居分野にも幾人かの先駆的な研究者がいて,この分野が開拓されてきた。このことは既報の通りであるが,氏の研究はこれらと異なり,氏のphilosophy of home economicsのすべては実証的立場から成立させたものであった。氏の考えは,大正9年から3年間欧米に留学した研究成果が大きく影響していたのであるが,氏の提案は合理性を第一にしたものであった。これらは当時のわが国の現実の住生活からは非常にかけはなれたものであったが,60年後の現在にも通じる先見性のあるものであった。それは生活の実践的理論から出発していることによるためで,家政学の研究のあり方に一つの示唆を与えているものとして評価したい。氏の研究は先見性のある発言として例の少ない貴重なものと考えるので,こゝに紹介するわけである。Home economics in prewar times was regarded as an educational materials rather than as a research field in Japan. Consequently the prewar results on home economics were entirely disregarded now. Prof. Kiyo Ochi was one of a few students on dwellings. The time of her activity was about from 1910 to 1940. She drew up many plans for the construction of a kitchen and a training room of cooking in a school, and built them in practice. These plans were based on practical use and facilities of suitable sizes in a kitchen were all built-in ones in reasonable arrangements. The kitchen of her home remains as it was sixty years ago, and yet it gives no sense of incongrity. This fact would be based upon her excellent insight and experiences of study in abroad.
- 大阪教育大学の論文
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