椎茸のテクスチャー測定

概要

論文の詳細を見る
椎茸のテクスチャーを測定する際の,試料の適切な測定位置と方向を明らかにするために,官能検査で硬いと評価される部位の組織構造を顕微鏡を用いて観察した。未固定の生椎茸を凍結し,パス染色によって染色し顕鏡したところ,菌糸の密度に差が認められた。菌傘の菌裾付け根部に,1〜2mの幅で菌糸密度の高い部分が認められ,菌傘内部では菌糸密度は低かった。この結果は,従来の報告例で用いられてきた菌傘の中心部は菌傘の硬さを測定するには適当ではないことを示している。従って,椎茸は菌傘の菌裾付け根部を含むように形成しなければならず,ブランジャーは菌柄に平行にその部分に接触しなければならない。この条件を満たすようにドーナツ型のプラットフォームに椎茸をのせ,1.5mmφの円柱型ブランジャーを用いて貫入試験を行なった。その結果,椎茸の力学的特性を把握することができ,硬さの指標である破断特性パラメータ,特に破断歪みは官能検査の硬さとよく一致していた。このことは,本実験で用いた椎茸の測定位置と方向が適切であったことを示している。
日本調理科学会の論文
2001-11-20