少ない油量での揚げ物 : 環境にやさしい食生活
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概要
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揚げ物使用後の廃食用油を減らすことは油を有効に利用し,環境保全のうえでも大切であると考え,はり込み油量を少なくして揚げ物調理を行うことが可能かどうか検討した。小型の揚げ鍋を用い,使用油量400gで冷凍ミンチカツ420gを週1回間隔で連続4回さし油なしで揚げ,揚げ油と揚げ種抽出油の一般特数,脂肪酸組成の分析,揚げ種と揚げ油の官能評価を行い次の結果をえた。1.使用後の揚げ油の酸価は揚げ回数の増加にともない増加したが,その差は小さかった。揚げ種抽出油のそれも,回数の増加による差は小さかった。2.揚げ種抽出油と揚げ油の脂肪酸組成は顕著に異なり揚げる回数が増すと脂肪酸組成は変動し,揚げ種と揚げ油の相互間で油脂の移行が認められた。このことは色および粘度の変化からも観察された。3.揚げ種の官能評価では4回目の方が1回目に比べて,カラッとしているおよび総合評価の2項目において良い結果であった。揚げ種の色の評価は揚げ回数による差がなかった。4回使用後の油は,パネルの64%は廃棄すると答えた。4. 4回目の揚げ種の官能評価が良かったのは,揚げ種の吸油量・水分含有率の揚げ回数による差が小さかったことから,揚げ種と揚げ油相互間の油脂の移行にともなう脂肪酸組成の比率の変動に一因があると推察した。なお,4回揚げた後の油量は初期使用量の48%に減り,鍋の油の深さは初期の56%,に減少した。以上のことから,1回に用いる揚げ油の油量が少量でもおいしい揚げ物が得られること,揚げ油の使用限界の判断をたんに揚げ油のみによって判断することには問題があり,揚げ油よりむしろ揚げ種の品質の良否を考慮する必要があることが示唆された。
- 日本調理科学会の論文
- 1997-11-20
著者
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