犬の妊娠異常における超音波画像診断に関する研究 : I.妊娠後期に犬ヘルペスウイルスを接種した妊娠子宮の超音波画像所見

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犬ヘルペスウイルス(CHV)を腹腔内接種した妊娠犬(妊娠日数約52日〜54日)3頭の妊娠子宮について,超音波診断法による観察を行った。帝王切開あるいは自然分娩で得た胎仔及び胎盤は,超音波画像と比較した後,病理組織学的及びウイルス学的検索を行った。観察された主な超音波画像は,1)胎仔の羊水摂取の減少による胃の嚢胞像の縮少や不鮮明化,2)胸水や腹水の貯留によるエコーフリー像の出現,3)胎仔死亡の前徴と思われる異常な胎動及び心臓拍動,4)リアルタイム画像による胎仔死亡を示す心臓の拍動停止,5)死亡胎仔にみられるエコーレベルの低下やエコーの均質化,6)死亡胎仔の胎盤剥離を示唆する胎仔胎盤の羊水中への遊離像及び7)羊水の混濁を示唆する羊水中の瀰慢性点状エコーの出現などであった。これらの超音波画像所見は病理学的変化とよく一致した。胎仔のCHV感染は,肉眼的及び組織学的所見とウイルスの回収から証明された。以上の成績から,実験的CHV感染によって生じる胎仔や胎盤の病的な変化を超音波画像としてはじめてとらえ,病理学的所見との関連性について考察した。また,超音波診断法は,妊娠中に胎仔や胎盤に生じる種々の異常の診断に有用であることが示唆された。
岐阜大学の論文
1987-01-10

犬の妊娠異常における超音波画像診断に関する研究 : I.妊娠後期に犬ヘルペスウイルスを接種した妊娠子宮の超音波画像所見

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