飼育下および野生下における成熟雌ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の血清プロジェステロンおよびエストラジオール-17β濃度

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飼育下および野生下の成熟雌ニホンツキノワグマより採取した血清についてプロジェステロン(P_4)およびエストラジオール-17β(E_2)濃度の測定を行い, 妊娠との関係について検討した.全飼育個体のP_4濃度は, 8月より高くなる傾向を示し, 11月および12月に最も高い値を, 3月には低値を示した.全飼育個体のうち, 分娩を確認した8頭の妊娠個体のP_4濃度は, 8月から10月にかけて徐々に増加し, さらに12月には有意に高値を示し(7.2〜18.0ng / ml), その後1月には3.5〜6.4ng / ml, 3月には0.3〜0.7ng / mlと減少した.全飼育個体のE_2濃度は, 4月から10月まで一定の傾向を示さず, 11月および12月に低値を, 1月には高値を示した.8頭の妊娠個体のE_2濃度は, 5月は高値を示し(95.6〜191.4pg / ml), 8月から10月にかけて不規則に変化し(35.6〜143.3pg / ml), その後, E_2濃度は, 12月に有意に低値を示し(5.3〜11.9pg / ml), 1月には上昇する傾向を示した(67.6〜153.1pg / ml).また, 8頭の野生個体において, P_4濃度より妊娠の可能性が示唆された.以上の結果より, 12月のP_4値の著しい上昇は, 着床に伴った変化であることが示唆された.また, E_2濃度の12月の減少と1月の増加は, それぞれ着床と分娩に関与している可能性があると考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
2000-04-25

飼育下および野生下における成熟雌ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の血清プロジェステロンおよびエストラジオール-17β濃度

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