イヌの実験的十二指腸閉塞および吻合後の胃運動と血液酸塩基平衡の変化について

概要

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イヌの上位腸閉塞および吻合における胃運動と血液酸塩基平衡の関連を検討するため,胃体部と幽門部の漿膜面に筋電図用電極と収縮曲線導出用歪ゲージを縫着した。閉塞群は後十二指腸曲を閉塞し,吻合群は後十二指腸曲を側々吻合した。術後4日まで胃筋電図と動脈血ガスおよび血清電解質を測定した。嘔吐は閉塞群の全例にみられたが,吻合群には認められなかった。術後3日には閉塞群に炭酸ガス分圧(PCO_2)の上昇とカリウムイオン(K^+)の低下がみられ,4日にはPCO_2の上昇および胃体部のspike potential bursts (SP)を伴うbasic electric rhythm (BER)の発生率(=SPを伴うBERの数/全BER数)の増加が認められた。術後3日と4日の筋電図にinterdigestive myoelectric complex (IMC)が吻合群の5頭巾1頭に観察されたが,閉塞群には観察されなかった。以上の結果より,吻合群に比べ閉塞群のIMCの発生はK^+の低下により抑制され,嘔吐はPCO_2の上昇とSPを伴ったBERの発生率の増加により誘発されたことが示唆された。
1988-12-25