犬脾臓の結節性過形成の1例

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7歳の雄のダックスフント犬に認められた脾臓の結節性過形成の1例について,臨床的観察,超音波検査および病理学的検索を行った。臨床的には,発熱とそれに続く食欲不振,嘔吐,血便が約1.5ヵ月間にわたって間欠的に認められた。身体検査では,左側腹腔内にゴルフボール大の腫瘤と下顎および浅類リンパ節の腫大が触知された。実施した血液および血放生化学的検査の成績では,GPTとAl-P値の上昇の他には著変を認めなかった。腹部超音波検査で,左側腹腔内に,均一な微細斑点状の内部エコーを示す限界明瞭な低エコーの腫瘤が描出された。腫瘤エコーは脾臓エコーと連続性を持ち,脾臓の一部である画像所見が得られた。約3ヵ月の経過観察の後,脾臓摘出術を実施した。摘出した脾臓は,肉眼的に暗赤色で,腫大していた。尾側より約1/3の位置に,包膜から半球状に突出した鶏卵大の腫瘤が認められた。組織学的に,結節は脾臓類似の構造を示し,著しい血液の充満とリンパ濾胞様構造の過形成が認められた。脾臓摘出後,患犬の臨床症状とリンパ節の腫大は消失し,健康を回復した。今回の症例で得られた成績から,脾臓の結節性過形成の臨床,超音波画像及び病理像に関するいくつかの有益な情報を明らかにし得たと思われる。犬脾臓の結節性過形成の治療法として脾臓摘出術が有効であることが示唆された。
岐阜大学の論文
1991-12-25

犬脾臓の結節性過形成の1例

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