ハロセン吸引時の犬の肝組織中過酸化リン脂質, マロンジアルデヒドおよび抗酸化酵素活性の変動

概要

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犬のハロセン誘発性肝障害の発症機序を明らかにするため, 門脈動脈化法による肝灌流系を用いて, ハロセン吸引時の肝組織中過酸化リン脂質, マロンジアルデヒド (MDA) および抗酸化系酵素活性の変動を, 肝血流量との関連から検討した. ハロセン吸入に加え肝血流量を10% (低酸素) とした群では過酸化ホスファチジルコリン (PC), 遊離型ならびに蛋白結合型MDA値がハロセン吸入後増加した. 一方, 肝血流量を50% (平常酸素) とした群では過酸化ホスファチジルエタノラミン (PE) 値が減少し, MDA値にはほとんど変動は認められなかった. これに対しハロセン吸入を行わず, 肝血流量を10%とした対照群ではMDA値の増加が観察されたが, その程度はハロセン吸入群に比較し著しく軽度であった. また, ハロセン吸引群では肝酸素供給量あるいは消費量と総ならびに蛋白結合型MDAとの間に有意な相関 (p<0.01) が認められた. 以上の結果から, ハロセン誘発性肝障害の発現には主にハロセンの嫌気的代謝で産生されるフリーラジカルが関与していると考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
1998-01-25