イヌにおける開腹時間延長の影響 : II.血液酸塩基平衡について

概要

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イヌを開腹し,胃と十二指腸を40分間(40分群)または120分間(120分群)室温に曝露した後に閉腹した。40分群と120分群の術前から術後にかけて,血液pH,炭酸ガス分圧(PCO_2),酸案分圧(PO_2),重炭酸イオン濃度(HCO^-_3,Base Excess (BE),血清ナトリウムイオン濃度(Na^+)および血清カリウムイオン濃度(K^+)を測定した。120分群では40分群に比べ術後12時間のPCO_2の低下,12〜24時間にかけてHCO^-_3,1日目のBase excessの減少が認められ,手術直後および2日にはK^+の減少があった。また,術後に変化した各測定値が術前値まで回復するに要した日数は40分群で術後2日, 120分群で4日であった。手術後21日の剖検時に,開腹120分群では全例に十二指腸にカタール性病変が認められたが,40分群ではこれを認めなかった。以上の所見から,開腹時間の廷長が術後の血液酸塩基平衡に影響することならびに十二指腸にカタール性病変を惹起することを示している。
岐阜大学の論文
1987-12-25