微生物活性によるバイオマス利用に関する研究.第I報 : 洗米排水澱粉の酵素糖化とアルコール発酵
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概要
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清酒醸造工場より排出される洗米排水中に含まれる米澱粉の濃縮分離法を検討した。すなわち, 150メッシュ通過白糠懸濁液(0.3%)を含む人工排水を調製し, 水酸化カルシウムと炭酸ガスによる凝集処理, 高分子凝集剤による凝集処理及び遠心分離法によってそれぞれ検討した。洗米排水凝集澱粉汚泥の実試料と人工試料を用いて酵素糖化を諸条件下で調べた結果, 人工試料の白糠は容易に無蒸煮糖化されるばかりでなく, ポリ塩化アルミニウムを主成分とする凝集剤処理で得られた実試料もpH5,70℃以上の加熱処理では90%前後の糖化率を示すことが分かった。また, 洗米排水凝集汚泥の無蒸煮糖化及びアルコール醗酵を併行複醗酵法で検討した結果, 汚泥蒸煮の有無による醗酵経過には差異はなく, 酵母共存状態で糖化速度も大きく, 炭酸ガス放出量より換算した汚泥中の糖分のアルコール変換率は90%前後であった。したがって, 細菌汚染等の問題点はあるが, 洗米排水凝集澱粉汚泥は無蒸煮の併行複醗酵法による省エネルギー型アルコール醗酵が可能であることが分かった。また, 醗酵液中のアルコール含量を測定するのに新しく開発された酒精濃度計(カネカ式A-I型)を用いて検討した結果, 従来法で得られた測定値とほぼ一致することを認めた。
- 神戸大学の論文
- 1983-01-30
著者
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青木 健次
神戸大学大学院自然科学研究科
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新家 龍
神戸大学大学院自然科学研究科
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新家 龍
神戸大学農学部
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青木 健次
神戸大学農学部
-
西羅 寛
神戸大学農学部
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南森 隆司
神戸大学自然科学研究科
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前川 季義
兵庫県産業調査研究所
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新家 龍
神戸大学農学部農芸化学科
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前川 季義
兵庫県立工業試験場
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西羅 寛
神戸大学農学部(元)
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南森 隆司
神戸大学農学部生命機能科学科
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