沖縄のウリ科植物に発生する Potyvirus に関する研究 : 第 1 報 Trichosanthes Mottle Virus および Watermelon Mosaic Virus 1 の性質(農学科)
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概要
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本報はケカラスウリから分離されたカラスウリ斑紋ウイルス(Trichosanthes mottle virus : TrMV)およびカボチャから分離されたカボチャモザイクウイルス(Watermelon mosaic virus 1 : WMV-1)の諸性状を記述したものである。TrMVおよびWMV-1はいずれも容易に汁液伝染し,モモアカアブラムシやワタアブラムシにより非永続的に伝搬された。ウイルス粒子はひも状で長さ約750nmであり,dip法試料中には層板状の封入体が観察された。汁液接種によりII科38種植物の感染性を調べたところ,両ウイルスはウリ科にのみ感染し,TrMVはウリ科の13種植物に全身感染し,オキナワスズメウリに局部感染した。WMV-1はウリ科の13種植物に全身感染したが,ケカラスウリには感染しなかった。粗汁液中におけるウイルスの耐熱性(10分)は45∿50Cあるいは50∿55C,耐希釈性は10^<-2>∿10^<-3>および耐保存性(20C)は5∿8日あるいは7∿10日にあった。TrMVとWMV-1との血清学的関係は認められなかった。しかし,TrMVはPLDMVと相互に反応し,寒天ゲル内でのウイルス間の沈降線はスパーを生じた。WMV-1はPRV-HA抗血清と反応し,ウイルス間の血清的類縁関係が認められた。既知WMV-1に近いウイルスと同定された。TrMVは未記載のpoty virusと考えられるので,カラスウリ斑紋ウイルス(Trichosanthes mottle virus : TrMV)と命名した。なお本ウイルスのウリ科作物での発生は確認されていない。
- 琉球大学の論文
- 1988-12-05
著者
-
伊志嶺 正人
沖縄県農業研究センター宮古島支所
-
伊志嶺 正人
沖縄県糖業農産課
-
与那覇 哲義
琉球大学農学部
-
田盛 正雄
琉球大学農学部生物生産学科
-
伊志嶺 正人
沖縄県庁
-
藤原 裕治
農林水産省横浜植物防疫所
-
藤原 裕治
那覇植防
-
与那覇 哲義
琉球大学農学部生物生産学科
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