宮古島における夏植サトウキビ畑の蒸発散特性
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概要
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沖縄県宮古島(北緯24゜,東経125゜)における夏植サトウキビ畑の微気象観測の結果から,熱収支をもとにボーエン比法で蒸発散量を測定し,FAOの提案した改良PENMAN法,日射法およびPENMAN-MONTEITH法を用いて基準蒸発散量を算出し,作物係数を求めた.測定期間中の蒸発散量は,0〜7.20mm/dayの間で変動し,年平均値は2.86mm/dayであった.最も蒸発散量が高かったのは7月7日の7.20mm/dayであった.これは,土壌が湿潤状態で測定期間中最も日射量が高かったことが理由である.各熱収支項の熱分配は,純放射量の大部分が潜熱フラックスに分配され,顕然フラックス,地中熱流量への分配は小さかった.しかし,土壌水分が低下すると顕然フラックスヘの分配が高まった.作物係数の年平均値は,基準蒸発散量の算出方法によって異なり. PENMAN法は0.69,日射法は0.75そしてPENMAN-MONTEITH法は0.83であった.月平均作物係数は,PENMAN法とPENMAN-MONTEITH法では6月にピークが認められ,その値は各々0.90と1.07であった.日射法では1〜6月まで0.75〜0.93で推移し,明瞭なピークは認められなかった.7月以降の作物係数はいずれの計算式においても低下した.その原因は,土壌水分の低下,台風の襲来による群落構造の破損と,施肥が年内に実施されるため翌年には養分が欠乏し,植物体の生理活性が低下したことが原因と推察された.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2004-06-01
著者
-
黒瀬 義孝
九州沖縄農業研究センター環境資源研究部
-
比屋根 真一
沖縄県農業研究センター
-
丸山 篤志
九州沖縄農業研究センター
-
丸山 篤志
千葉大学
-
伊志嶺 正人
沖縄県農業研究センター宮古島支所
-
丸山 篤志
九州農試
-
河野 伸二
沖縄県農業研究センター
-
河野 伸二
沖縄県農業試験場
-
大場 和彦
九州沖縄農業研究センター
-
伊志嶺 正人
沖縄県農業試験場
-
比屋根 真一
沖縄県農業試験場
-
大場 和彦
農業技術研究機構 九州沖縄農研セ
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