パパヤから分離されたウイルス : 第 1 報 Papaya ringspot virus について(農学科)

概要

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1.1972年沖縄県那覇市首里赤平町で採集したパパヤの激しい奇形葉病株からウイルスを分離し, その寄生性, 伝染およびウイルス粒子の形態などについて実験を行なった。2.パパヤにおける本病の病徴は, 連続的に奇形葉を形成し, 病葉上に隆起した濃緑斑および淡褐色の斑点を多数生ずる。病株は著しく萎縮し, 先端部に小枝が叢生する。葉柄は細長く伸びるが, 濃緑色の斑紋は現われない。3.本ウイルスは, パパヤのほか, カザリカボチャに葉脈透化, キュウリにえそ斑点, シロウリに退色斑点およびクロミノオキナワスズメウリにモザイク状の全身病徴を示したが, その他の供試植物は感染しなかった。4.本ウイルスは, モモアカアブラムシによる非永続的伝搬が認められた。ウイルスの耐熱性(10分)55∿60℃, 耐希釈性(10)^<-3>∿(10)^<-4>および20Cにおける耐保存性は2∿3日にあった。5.パパヤ病葉を用いて, dip法および部分純化標品の逆染色試料について電顕観察を行ない, 長さ約800nm, 幅12nmのひも状粒子が検出された。6.本ウイルスは, 既知パパヤウイルスのうち, 若干の相違点はあるがpapaya ringspot virusに最も近い。
1976-12-01