Rhizoctonia solani Kuhn AG-1 (IA) の菌核形成過程における炭素源の利用
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概要
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炭素源濃度の異なる培地でRhizoctonia solani Kuhn AG-1(IA)の菌糸の生育と菌核形成を比較した結果, 菌糸重量および菌核の数・量ともにその濃度に比例して増加した。14Cでラベルしたグルコースを用いて標準区(1%)における炭素源の行動を検討した結果, ほとんどの炭素源は菌核原基形成から成熟期までの極めて短期間に消費された。その96%はCO_2として放出され, また, 2%以上の濃度区では炭素源の残存が認められ, 残存量は濃度に比例して増加した。菌糸の分岐化や隔膜化は炭素源濃度に比例して促進されたが, これは菌糸から菌核原基への段階ではある程度以上の炭素源が必要であることを示している。さらに菌糸中のリンゴ酸脱水素酵素とイソクエン酸脱水素酵素などTCA回路中の酵素類の活性も炭素源濃度に比例して高くなった。放出されたと考えられるCO_2の量から菌核を産生するのに消費されたエネルギーを算出した結果, 培地中の炭素源濃度により差異は認められたが, その範囲は4〜10 kcal/gであった。以上のことから原基形成以後の発達・肥大および成熟には菌核の基質やエネルギー源として多量の炭素源が必要であることが明らかとなった。また, 培地中の炭素源が微量で, 菌糸生育期間中に枯渇した場合には, いったん生育した菌糸が加水分解され, その後の菌核形成に再利用されると考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1996-02-25
著者
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