チュウゴクナシ'鴨梨'果実の軟化と細胞壁多糖類およびその分解酵素活性
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概要
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チュウゴクナシ’鴨梨’果実の追熟に伴う、呼吸活性、エチレン生成量、果肉硬度、細胞壁多糖類およびその分解酵素活性の変化をセイヨウナシ’ラ・フランス’と’バートレット’、ニホンナシ’二十世紀’と比較しながら検討し、’鴨梨’の果肉軟化の特徴について考察を加えた。1.ナシ果実の呼吸活性およびエチレン生成量は、’鴨梨’、’ラ・フランス’、’バートレット’はいずれも果実の追熟に伴って増加したが、増加程度は異なった。特に、’鴨梨’のエチレン生成量は多く、特徴的であった。果肉硬度は、’ラ・フランス’と’バートレット’では追熟に伴って急減したが、’鴨梨’と’二十世紀’では低下は緩慢であった。2.ナシの果実のPME活性は、’ラ・フランス’と’バートレット’では果肉の軟化に伴って急減したが、’鴨梨’と’二十世紀’では低レベルで推移した。果実の軟化に伴うPG活性の増加は4品種ともみられたが、その程度は’バートレット’で最も大きく、次いで’ラ・フランス’であり、’鴨梨’と’二十世紀’では小さかった。セルラーゼ活性は、’ラ・フランス’では果肉軟化に伴って急増し、’鴨梨’でもやや増加したが、’二十世紀’と’バートレット’では終始ほとんど認められなかった。3.’ラ・フランス’と’バートレット’では果肉の軟化に伴ってWSPの急増、HPの急減が認められたが、’鴨梨’や’二十世紀’ではWSPの増加やHPの減少はいずれもわずかであった。ヘミセルロース含量は、4品種のいずれでも減少したが、セルロース含量は、’ラ・フランス’のみで急減した。4.チュウゴクナシ’鴨梨’の果肉軟化は、PME、PGおよびセルラーゼなどの酵素によるプロトペクチン、セルロース、およびヘミセルロースなどの細胞壁多糖類の分解に起因するものであるが、これらの酵素活性が他品種に比べて低く、追熟中にプロトペクチンの分解はわずかであるため、外部に対する抵抗力が十分に保持され、このことが果肉軟化が緩慢である原因になっていると思われた。The softening characteristics of Chinese pear 'Yali'fruit,based on changes in the rates of respiration and ethylene production,flesh hardness,the content of cell-wall polysacchairides and the activities of their degraging enzymes were determined,in comparison with Japanese pear 'Nijisseiki' and European pears 'la France' and 'Bartlett'.Rates of respiration and ethylene production in 'Yali','la France' and 'Bartlett' fruits increaced with the advance of ripening,showing the most significiant increase of ethylene production in 'Yali' fuit.Decrease of flesh hardness during ripening was rapid in 'la France' and 'Bartlett' fruits,but slow in 'Yali' and 'Nijisseiki' fruits.Though rapid increase of pectinmethylesterase activity in 'la France' and 'Bartlett' fruits was observed with concomitant decrease of hardness,the same activity was maintained at a lower level in 'Yali' and 'Nijissiki' fruits.Increase in polygalacturonase activity during ripening was rapid in 'la France' and 'Bartlett' fruits,Cellulase activity increased with the decrease in flesh hardness in 'la France' and 'Yali' fruits,whereas its increase was slight during ripenig in 'Nijisseiki' and 'Bartlett' fruits.Increase in the content of hydrochloride-soluble pectin during flesh softening were very slight in 'Yali' and 'Nijisseiki' fruits in contrast with their marked evidence in 'la France' and 'Bartlett' furits.From the results obtained above,its seemes that long-term hardness maintenance in Chinese pear 'Yali' fruit during ripenig was due to lower activity by degrading enzymes of cell-wall polysaccharides,compared with those in other pear fruits.
- 岡山大学の論文
著者
-
中村 怜之輔
岡山大学農学部
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稲葉 昭次
岡山大学農学部
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久保 康隆
岡山大学農学部
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久保 康隆
岡山大院自然科学研究科
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中村 怜之輔
くらしき作陽大食文化学部
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寧 波
岡山大学農学部
-
寧 波
加ト吉(現)
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