振動が果実の呼吸生理に及ぼす影響 : I. 振動中および振動直後のトマト果実の呼吸強度の変化

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果実の選果や輸送技術の改善合理化のための基礎資料の一つとして, 傷害に至らない程度の振動に対する果実の生理的反応を知るために, トマト果実について振動と呼吸強度との関係を調査した.振動の強さを1G, 2Gおよび3Gとして, それぞれ30分間から5時間まで種々の時間の振動を加えたところ, いずれも振動開始後ただちに呼吸強度の増加が始まり, 振動継続中は増加し続けた. そして, 振動中止後もなお数時間は増加し続け, その後一度やや減少するが, ふたたび増加したのち徐々に復元する傾向が認められた.振動の強さが同じならば, 振動時間の長いほど呼吸強度の増加は大きくなった. 振動の強さとの関係をみると, 振動時間が短かいときには振動の強さが大きいほど呼吸強度の増加も大きくなるが, 振動時間がある程度以上長くなるとより小さな振動での呼吸強度の増加が大きくなり, 3G区ではかえって低下した.以上のことから, 振動という刺激に対してトマト果実は生理的に敏感に反応し, しかも短時間の振動によって受けた影響が以後かなり長い間にわたって持続することが明らかになった. さらに, 一定限度内ならば振動による刺激が大きいほど生理的影響が大きくなるが, それ以上刺激が大きくなるとなんらかの異常に結びつく可能性が示された. また, 熟度によって感受性が異なってくるとともに, 追熟に対しても影響があらわれてくる可能性も考えられた.
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