振動による箱内果実温度及び空気組成の変化
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概要
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複両面段ボール箱にナシ,リンゴ及びウンシュウミカンを実際に流通している形で詰め,人工的に1G及び2Gの振動強度で12時間ないしは24時間の振動処理を行い,果実温度と箱内空気組成の変化を調査した.果実温度は振動中上昇し続け,箱中心部で静置区との温度差でみると1G区で1~1.5℃高くなった.2G区ではそれよりさらに高くなる傾向がみられた.このような温度上昇はパラフィン球でも認められ,静置区に比べて約1℃高くなった.温度上昇と内装緩衝材との関係をパラフィン球で調査したところ,型トレイと段ボールが接していて滑りやすいような緩衝材の組合せ条件の場合に,パラフィン球の温度上昇が速くなり,また上昇の程度も大きくなった.このようなことから,ここでみられた果実温度の上昇は,主として箱内の種々の部位で起る摩擦に起因するものと推察された.箱内空気組成は,静置区では酸素濃度は20%前後,炭酸ガス濃度は0.2-0.3%に保たれ.時間が経過してもそれ以上の大きい変化はみられなかった.振動区では,ナシやリンゴのように型トレイが使われている場合,炭酸ガス濃度は振動中は低く保たれ,振動を中止すると静置と同じレベルに増加した.酸素濃度は振動による変化はほとんどみられなかった.ポリエチレン内張段ボール箱にナシを詰めた場合,静置区では箱内空気組成はポリエチレンのガス透過度に支配されて大きく変動したが,振動区では振動中は空気組成の変化はほとんどみられず,振動を中止すると急速に静置区と同様の大きい変化を示した.このようなことから,普通の複両面段ボール箱では,箱内空気組成は生理的に悪影響が生じる程の大きい変化は起らないこと,振動条件下におくと箱内の換気が促進されて空気組成の変化は小さくなることが明らかになった。
- 岡山大学の論文
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