<治療に関する研究>高血圧自然発症ラットの頚動脈内膜傷害モデルにおける各種薬剤の新生内膜形成に対する効果

概要

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アンジオテンシンIIタイプI受容体拮抗薬は, アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬と同様に正常血圧ラットのballoon injury後の新生内膜形成を抑制することが知られている.今回, 血管壁でのACE活性の亢進が報告されている, 高血圧自然発症ラット(SHR)でも同様の効果が見られるか否か検討した.15週齢の雄性SHRにアンジオテンシンIIタイプI受容体拮抗薬のTCV-116,ACE阻害薬のlisinoprilもしくは血管拡張薬のhydralazineを内膜傷害モデル作成1週間前から作成2週間後まで投与した.内膜傷害モデル作成2週間後, 左総頚動脈を取り出し新生内膜面積, 内膜/中膜の面積比を計測した.内膜傷害モデルは左大腿動脈から2FのFogartyカテーテルを挿入して左総頚動脈に作成した.Control群のSHRの収縮期血圧は204±22mmHg(n=7)であった.TCV-116,lisinoprilおよびhydralazineはSHRの収縮期血圧をそれぞれ135±14(p<0.01;n=7), 139±10mmHg(p<0.01;n=8)および132±13mmHg(p<0.01;n=9)と有意に低下させた.このとき, 心重量/体重比(g/kg)はcontrol群の4.72±0.23からTCV-116,lisinopril投与群でそれぞれ3.87±0.29,4.11±0.19と有意に低下していたが, hydralazine投与群では4.67±0.37と変化はなかった.また, 体重や心拍数には影響はなかった.BI後の新生内膜面積, 内膜/中膜面積比を, TCV-116投与群は65%, 63%, lisinopril投与群は70%, 66%, そしてhydralazine投与群は62%, 56%とそれぞれコントロールと比べて有意に抑制した.TCV-116およびlisinoprilはSHRの収縮期血圧を低下させ, 心肥大を抑制し, 内膜傷害後の新生内膜形成を有意に抑制した.一方, hydralazineはSHRの収縮期血圧を低下させたが, 心肥大は抑制しなかった.しかし, hydralazineは内膜傷害後の新生内膜形成を他の2剤と同様に有意に抑制した.このことは頚動脈の新生内膜の増殖と心肥大の機序は異なることを示唆すると思われた.
近畿大学の論文
1995-12-30

<治療に関する研究>高血圧自然発症ラットの頚動脈内膜傷害モデルにおける各種薬剤の新生内膜形成に対する効果

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