曲げ荷重により切断した凍結魚肉の切断面角度に及ぼす筋線維配向角度の影響
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概要
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We have proposed a new cutting method named "Cryo-cutting" for frozen foodstuffs by applying a bending force instead of conventional cutting methods with band saw. This paper investigated the effect of muscle fiber angle (θf) to cut surface angle (θs) of frozen tuna muscular tissue at -70, -100 and -130°C for the purpose of evaluating the applicability of the cryo-cutting method to frozen fishes. The results were as follows : (1) There were two typical cutting patterns ("across the muscle fiber" and "along the muscle fiber") in frozen fish. When muscle fiber angle was 0° ≦ θf ≦ 30°, the frozen muscular tissue test pieces were cut "across the muscle fiber'' and almost all their θs were 90°, and in particular at -70°C, all the test pieces were cut at a right angle (θs = 90°). When muscle fiber angle was 40° ≦ θf ≦ 90°, the test pieces were cut "along the muscle fiber" and all the test pieces were not cut at a right angle (θs ≠ 90°) except the case of θf = 90° When muscle fiber angle was 30° ≦ θf ≦ 40°, the test pieces were cut in either of these two cutting patterns. (2) We predicted that whole frozen tuna body that made of muscle fiber and connective tissue, was possible to cut frozen tuna body (round shape) in a loin shape by bending them at θf = 90° and in a chunk shape by bending them at -70°C.筆者らは凍結した食品材料を鋸を用いずに切断する方法(低温切断法)を提案し, さらにこの方法を凍結魚肉の切断に応用することを目指している. 本報告では, -70℃, -100℃, -130℃において任意の筋線維配向角度θfを持つキハダマグロ試験片の曲げ切断試験を行い, 破断面角度θsに与えるθfの影響について検討を行った.切断試験の結果, 以下のことが明らかとなった. (1)凍結魚肉を曲げ荷重により切断した場合, 切断様式は筋線維の配向角度θfに依存し, 0°≦θf≦30°では「筋線維を断ち切る切断」が起こり, 40°≦θf≦90°では「筋線維に沿った切断」が起こることが明らかとなった. また, 30°≦θf≦40°付近では, 2つの切断様式が同時に現われることが明らかとなった. (2)「筋線維を断ち切る切断」が起こる場合には, -70℃に凍結して切断することにより切断面が直角になる可能性が高くなることが明らかとなった. また「筋線維に沿った切断」が起こる場合には, 凍結温度にかかわらずθf=90°になるように設定して曲げ荷重を加えることにより, 安定して直角に切断できることが示唆された. (3)実際の凍結マグロを低温切断法でチャンク状に切断する際に, 切断面が直角になる可能性について, 文献値に基づき検討を行った. この際筋線維配向角度θfが最大となるマグロ体表面付近におけるθfが切断の可否を決定すると仮定した. その結果, メバチマグロ, ミナミマグロ, キハダマグロ, ビンナガマグロとも, θfは20°以下となり, この場合赤身肉に「筋線維を断ち切る切断」が起こると考えられ, 表皮, 骨の影響を除いて考えれば, 直角に近い切り口でマグロを輪切りにできる可能性が高いことが示唆された.
- 日本食品科学工学会の論文
- 1996-09-15
著者
-
鈴木 寛一
広島大学大学院生物圏科学研究科
-
岡本 清
広島大学 大学院生物圏科学研究科
-
鈴木 寛一
広島大学生物生産学部
-
鈴木 寛一
広島大 大学院生物圏科学研究科
-
羽倉 義雄
広島大学生物生産学部
-
岡本 清
広島大学生物生産学部
-
久保田 清
広島大学生物生産学部
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