ピロリジンジチオカルバミン酸を用いる鉄の吸光光度定量
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概要
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3価鉄イオンはピロリジンジチオカルバミン酸(PDTC)と難溶性沈殿を生ずるが,トリトンX-100のような界面活性剤が存在すると可溶化して黒紫色の均一溶液となる.この溶液はかなり安定で,360,515および600nmに吸収極大を示す.モル吸光係数は360nmで1.1<SUB>4</SUB>×10<SUP>4</SUP>,515および600nmで3.7<SUB>0</SUB>×10<SUP>3</SUP>であった.360nmにおける定量感度はο-フェナントロリン法と同程度であり,天然水中の鉄の定量結果は両者よい一致を示した.pH=1,[Cl<SUP>-</SUP>]=0.2<I>M</I>での本沈殿の見かけの溶解度積は4.2×10<SUP>-17</SUP>であった.3価鉄を用いても,2価鉄を用いても同一の吸収スペクトルを与えるが,吸収極大を与える波長での吸光度が還元剤の共存で減少することなどから,黒紫色錯体中の鉄の酸化状態は3価であると推定される.
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