1-ピロリジンジチオカルバミン酸アンチモン(III)を抽出試薬とするカドミウムの溶媒抽出-吸光光度定量法
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概要
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1-ピロリジンジチオカルバミン酸アンチモン(III)はクロロホルム中でSb(pdtc)_3として存在している.この溶液を用いて,pH 4.2〜7.7の水溶液中のカドミウムを定量的に抽出することができる.銅(II),鉛(II),ビスマス(III)も同様に抽出される.pH 2.3 の水溶液から銅及び大部分の鉛が抽出されるがカドミウムは全く抽出されない.又,6 mol dm^<-3> 水酸化ナトリウム溶液10cm^3と25%酒石酸ナトリウムカリウム溶液4cm^3の混合溶液で有機相を洗浄することにより,有機相中の抽出試薬及び抽出されたビスマスを完全に水和に振りもどし,一方,カドミウム錯休のすべてを有機和に残すことができる.有機相中のカドミウム錯休は,硫酸銅水溶液との振り混ぜにより容易に銅錯休にすることができ,この錯休の濃度から間接的にカドミウムを定量できる.銅と鉛は著しく妨害するが,pH 2.3 でまずこれらのイオンを抽出分離した後,硫酸イオン濃度を0.1 mol dm^<-3> 以上にし,かつ,水溶液のpHを5.6に調節してカドミウムを抽出すれば,それぞれ26倍及び5倍(モル比)の共存が許容できる.更に多量の鉛が共存する場合には,これらの操作の前に硫酸を用いて硫酸鉛を沈殿,分離し,そのろ液を供試液とすればその妨害を除くことができる.この方法により,多量の鉛,モリブデン,クロロホルム,鉄,ニッケル,銅などと共存する微量のカドミウムを満足すべき結果で吸光光度定量することができた.
- 1981-01-05
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