血漿交換療法により救命し得たキニジンによる血小板減少性紫斑病の1症例
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概要
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キニジンによる血小板減少性紫斑病は欧米では多数の報告がみられるが,本邦での報告例は極めてまれである.今回,我々は重篤な出血症状をきたしたキニジンによる血小板減少性紫斑病に対して,血漿交換療法を行ない救命し得た症例を経験したので報告する.症例は68才,女性.僧帽弁狭窄症および心房細動にて入院後,心房粗動へと移行したため電気的除細動を施行し,キニジン0.9g/日にて洞調律を維持していた.キニジン投与後約8週間目に鼻出血および下腿に点状出血斑が出現し,血小板数は1.2×104/mm3と著明な減少を示した.骨髄像では巨核球数の増加を認め,抗血小板抗体およびキニジンによるリンパ球幼弱化反応が陽性を示したため,キニジンによる血小板減少性紫斑病と診断した.直ちにキニジンの投与を中止し,大量の血小板輸血を行なつたが,血小板数の回復がみられず,脳出血症状および消化管出血が出現したため血漿交換療法を施行した.血漿交換療法は膜分離方式によつて計4回行ない総量12000ml交換した.キニジン投与中止後7日目より血小板数は回復し始め, 10日目頃には正常に復した.血漿交換療法は急速に血中内抗体と薬物を除去することが可能であり,本症例の様に生命に危険な重篤な出血症状をきたす症例に対しては注目されるべき治療法の一つであると考えられる.
著者
-
寮 隆吉
神戸大学医学部保健学科
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玉田 文彦
須磨赤十字病院内科
-
溝口 靖紘
大阪市立大学医学部内科学
-
谷 聡
須磨赤十字病院内科
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永田 正男
須磨赤十字病院内科
-
的崎 尚
須磨赤十字病院内科
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川瀬 芳人
須磨赤十字病院内科
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広瀬 良和
須磨赤十字病院内科
-
末広 逸夫
須磨赤十字病院内科
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大江 勝
須磨赤十字病院内科
-
本庄 昭
川崎病院内科
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