進行性全身性硬化症,橋本病,シェーグレン症候群を合併した原発性胆汁性肝硬変症の1例

概要

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症例は,54歳女性.49歳頃より皮膚掻痒感,52歳頃よりレイノー症状がそれぞれ出現.54歳より黄疸出現し増強するため当科へ入院入院後,皮膚の硬化性浮腫,皮膚生検所見,肺線維症(+)等より進行性全身性硬化症(PSS),また,甲状腺機能低下(+),抗マイクロゾーム抗体陽性,甲状腺生検所見より橋本病とそれぞれ診断した.さらに,唾液腺,涙腺の著明な分泌能の低下,乾燥性角結膜炎(+)よりシェーグレン症候群(SjS)と診断.一方肝機能検査では,T. Bil. 5.9mg/dl, Direct 4.6mg/dl, Al-P 25.8KAU, γ-GTP 255mU/mlと胆汁うっ滞型を呈し,ERCPにて肝外胆管の閉塞所見はみとめられず,抗ミトコンドリア抗体陰性であったが,外科的肝生検肝の連続切片による組織学的検索より慢性非化膿性破壊性胆管炎の所見がみとめられ原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と診断.以上,PBCに橋本病,SjS, PSSときわめて多彩な合併をみとめた稀な1例を経験したので報告した.
社団法人日本肝臓学会の論文