カビ発酵サラミソーセージの熟成•乾燥期間中における風味関連物質の変化
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概要
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カビ発酵サラミソーセージの熟成風味発現機構の解明の観点から,熟成•乾燥期間中の風味関連物質の生成に及ぼす糸状菌の影響について調べた.糸状菌としてPenicillium miczynskiiを用い,Lactobacillus plantarumにより内部発酵をコントロールしたサラミソーセージ(M. F. S. S.),L. plantarumだけを用いたサラミソーセージ(F. S. S.)およびP. miczynskiiおよびL. plantarumを用いないサラミソーセージ(S. S.)の3種類のサラミソーセージを作り,これらについてそれぞれ表層部,中心部における各種成分の経時変化を比較した結果,次のことが明らかとなった.(1) 熟成•乾燥0日目の試料中に最も多く存在する遊離アミノ酸は,Tau, Gln, Ala, Glyの順であった.その後,F.S. S.およびM. F. S. S.では熟成•乾燥の進行に伴い全遊離アミノ酸量は増加の一途であったが,S. S.では20日目に最高に達した後,減少傾向を示した.しかし,いずれの試験区においても顕著な増加を示した遊離アミノ酸は同じで,Glu, Leu, Lys, Alaであった.(2) アンモニア含量の増減傾向には試験区間に差は認められず.いずれも経時的に増加して,20日目に最高に達した後,減少傾向を示した.(3) 遊離アミノ酸,アンモニア含量とも表層部に比べ中心部の方が多い傾向であった.(4) ペプチドは全試験区とも分子量800程度に主ピークが認められるだけで,経時的に変化することはなかった.(5) 遊離脂肪酸はM. F. S. S.の表層部で顕著な増加を示した.特に熟成•乾燥初期に著しく,10日目で3.5倍に達した.以後20日目まで漸増したが,その後の変化は認められなかった.各遊離脂肪酸の中ではC16:0およびC18:1の増加が顕著であった.これに対して,それ以外の試験区での増加はゆるやかであり,40日目に0日目の約2倍に達したに過ぎない.これらの試験区間においては遊離脂肪酸の増加に量的な差は認められなかった.また,遊離脂肪酸組成はいずれの試験区でも顕著な差は認められなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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沼田 正寛
伊藤ハム株式会社
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中村 豊郎
伊藤ハム株式会社
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冨家 崇弘
伊藤ハム株式会社中央研究所
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橋本 小由利
伊藤ハム株式会社中央研究所
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水谷 祥彦
伊藤ハム株式会社中央研究所
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山田 浩之
伊藤ハム株式会社中央研究所
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中村 豊郎
伊藤ハム株式会社中央研究所
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