含気包装および真空包装食肉における鮮度判定指標としてのジアミンの有効性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
豚ロース肉を試料とし,含気包装(A区),真空包装(V区),ガス置換包袋(G区)の各包装形態における5°C保管中の細菌数,pHならびにポリアミン,グルコース,乳酸,アンモニア各含量を経時的に測定した.(1) 低温細菌数が初期腐敗の指標とされている107/gに達したのは,A区で7日目,G区で8日目,V区で12日目あった.これに対し,官能評価で初期腐敗と判定され始めたのは,それぞれ8日,10日,12日目であり,低温細菌数よりもやや遅れる傾向であった.腐敗の進んだ段階における主要菌種は,G区では低温性グラム陰性細菌,V区では乳酸菌と推定された.(2) ポリアミン量の変化は,すべての試験区においてスペルミジン,スペルミンの大きな変動は見られなかったのに対し,ジアミンであるプトレシン(Put)とカダベリン(Cad)は新鮮時には検出されず,A区では7日目にCad,8日目にPut,G区では10日目にPutとCad,V区では8日目にCad,12日目にPutが検出され始めた.(3) その他の化学的指標については,pHがG区において8日目以降急激に上昇し,アンモニアは,A区が7日目以降,G区とV区は8日目以降増加した.乳酸は,A区とV区には大きな変化は見られず,G区では8日目以降減少した.グルコースは,A区とG区で6日目以降減少傾向を示し,V区では変化は見られなかった.(4) 以上の結果から,含気包装と真空包装において,CadまたはPutの合計量が初期腐敗の判定指標として有効であることが明らかになった.しかし,ガス置換包装では,同様の有効性は認められなかった。また,補助的指標として,グルコースを用いることも有効であると考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
-
中村 豊郎
伊藤ハム株式会社
-
矢野 幸男
伊藤ハム(株)中央研究所
-
矢野 幸男
伊藤ハム株式会社
-
羽田 輝美
伊藤ハム株式会社中央研究所
-
渋谷 泰子
伊藤ハム株式会社中央研究所
-
鈴木 文江
伊藤ハム株式会社中央研究所
関連論文
- ヘム鉄および牛骨粉のミネラル欠乏状態回復効果について
- 畜産副生物の酵素処理による食材化について
- 牛肉の長期熟成中における官能評価, 物性および化学成分の変化
- 含気包装および真空包装した牛肉, 豚肉, 鶏肉の初期腐敗段階に生成するヘッドスペース成分
- センサーによる食肉の品質測定
- 牛肉の香気と呈味成分に関する研究 : 黒毛和種銘柄牛間の成分の相違について
- 畜産副生物の酵素処理による食材化について
- 同一条件で飼育した品種の異なる牛肉の香気と呈味成分について
- 食肉の微粉砕処理について
- 食肉副産物発酵調味料の速醸化と香味改良に関する研究
- 食肉および食肉副産物の発酵調味料化に関する研究
- 牛生肉の硬さ測定用としての回転式センサーの開発とその応用
- 牛肝臓および肝消化物の腸内pHにおける非ヘム鉄の溶解性に及ぼす影響
- カビ発酵サラミソーセージの熟成風味生成に及ぼす糸状菌と脂肪含量の影響およびその抗酸化性
- カビ発酵サラミソーセージの熟成風味発現に及ぼす熟成 : 乾燥期間中の微生物学的変化
- 和牛,乳牛および輸入牛肉の香気と呈味成分について
- ポリエチレングリコール修飾リパーゼを用いた動物性油脂の改質
- 酸素電極FIA法を用いた食肉鮮度測定用センサ (プラント計装におけるバイオセンサの現状と課題) -- (センサ技術紹介)
- バイオリアクターによる食肉副産物の発酵調味料化
- 食肉副産物発酵調味料の速醸化と香味改良に関する研究
- カビ発酵サラミソーセージの熟成風味発現に関する基礎的研究
- 血清プラズマ分画成分の機能特性
- 食肉および食肉副産物の発酵調味料化に関する研究
- 食肉の鮮度判定指標としてのポリアミンに関する研究
- カビ発酵サラミソーセージの熟成•乾燥期間中における風味関連物質の変化
- 食肉製品の細菌叢と分離菌の発育特性
- カダベリンとヒポキサンチンの測定による牛肉の中温熟成管理
- 介護食品市場と「優々家族」シリーズ食品 (特集:高齢者用食品の開発)
- チラミンセンサーによる食肉および発酵畜産食品の品質評価
- 含気包装および真空包装食肉における鮮度判定指標としてのジアミンの有効性