各種乳成分およびSH試薬存在下での加熱によるβ-ラクトグロブリンの天然抗原性の変化

概要

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β-ラクトグロブリンの天然抗原性(β-Lgの抗原性)の加熱変化におよぼす各種乳タンパク質,乳糖,塩類およびSH試薬の影響について,抗原抗体反応の1手法を用いて跡し,合わせてその時のβ-Lgの熱変性度をSephadex G-100カラムクロマトグラフィーにより検討した.得られた結果は次の如く要約される.1. 未加熱,加熱(96°C, 10分)両税脂乳とも,その酸沈殿物(pH 4.6)には,β-Lgの抗原性は認められなかった.2.96°Cで5分以内の加熱によるβ-Lgの抗原性の低下は,全乳,脱脂乳およびホエー中よりも精製β-Lg溶液中で顕著であり,同温度で10分〜30分加熱時の抗原性の低下は,ホエーおよび精製β-Lg溶液中よりも全乳および脱脂乳中で顕著であった.しかし,全乳と脱脂乳の間に差は認められなかった.3.96°Cで10分加熱時のβ-Lgの抗原性低下の促進物質としてカゼインが,抑制物質として乳糖が関与していた.4. 60°C-96°Cの温度範囲で各5分間加熱時のβ-Lgの抗原性の低下は,N-エチルマレイミドにより抑制され,L-システインにより促進された.5.β-Lgの抗原性の低下とSephadex G-100カラムクロマトグラムにおけるβ-Lgの消失度には正の相関性が認められた.
社団法人日本畜産学会の論文