α-カゼインのトリプシン分解物の抗原性,およびその他の性質 : I. 特に等電点(pH 4.6)沈殿画分について
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概要
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α-カゼインを材料にして,その抗原性におよぼすトリプシン加水分解の影響を知る目的から,まずその分解物のpH 4.6における沈殿画分のα-カゼイン抗原特異性について,カラムクロマトグラフィー,電気泳動法および抗原一抗体反応などの実験法により検討した.なお,免疫反応には抗α-カゼイン家兎血清を用いた.得られた結果は次のとおりである.1) α-カゼインはトリプシンにより経時的に速かに分解される.その分解は,まずカゼインから中間分解産物になり,これがさらに最終産物に分解される様式を辿る.2) α-カゼインはトリプシンによる分解過程においてα-カゼインと同等の高分子量を持つと考えられるA-画分,中間分子量のB-画分および低分子量のC-画分を生成するが,A-画分のZwitterイオン構造はα-カゼインのそれと異質である.なお荷電の差からA-画分は2成分に,B-画分は7成分に,C-画分は1成分にそれぞれ再分画される.3) 抗原活性はトリプシンの分解が進むにしたがって次第に減弱するが,その分解物の分子量と必ずしも強い相関がない.特に特殊荷電性の高分子量であるA-画分およびA-(a)ピークの抗原価の低いことが特徴的に認められる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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