α-カゼインのトリプシン分解物の抗原性およびその他の性質* : III. 特に等電点(pH4.6)可溶性画分について
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概要
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α-カゼインの抗原性におよぼすトリプシン分解の影響について検討する目的から,その分解物のpH4.6における可溶性画分(F-S画分)のα-カゼイン抗原特異性について,前報で述べた微量確認法により,その他の諸性質とあわせて検討した.得られた結果は次のとおりである.1. F-S画分はSephadexカラムクロマトグラフィー(Sephadex G-25とG-15との連結カラム)により7画分(F-1,F-2,---F-7画分)に分割され,F-1画分の分子量が5,000以上,その他の画分は5,000以下と推定した.2. 分割画分のビウレット反応性,ペーパークロマトグラフィーおよびアミノ酸分析により,いずれの画分とも2から11個のペプチド混合物であることが推定された.なお,それら各画分において,窒素含量ではF-1,F-2およびF-3画分,ヘキソース含量ではF-3画分が著しく多く,シアル酸はF-1およびF-2画分のみに含まれることを認めた.3. 沈降抑制反応,間接血球凝集抑制反応およびPCA抑制反応により,F-1からF-6までの画分に明らかな抗原活性を有することを確認した.特に,F-6画分に抗原活性が認められたことより,α-カゼイン抗原活性ペプチドがかなり低分子であると推定される.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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